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はい、とナイフを返す名探偵は馬鹿なのかと彼女は疑った
だがこれは名探偵の余裕の表れでもあるのだ
お前なんぞに殺されるわけがない、という相手を舐めくさった余裕なのだ
それに気づいたらしいロアはAにぶっ刺そうとした
しかしそれも名探偵の手によって止められた
「おいおい、私の寿命が縮む」
「死ぬよりマシだろ?」
彼女は椅子を名探偵に譲り、彼女は椅子の横に立った
本来の主従関係では逆だろうが、彼女は名探偵を尊敬していたのだ
それの表れであろう
「で、何故ここへ?」
名探偵が問うとロアは怒りがまた燃え上がったように椅子から立ち上がった
「何故?だって?お前も知らないのか?ルーラー」
「ああ、予想はつくが…ランサーが負けたんだろう?」
「卑怯なキャスターどもにな!お前もあの場に居れば必ず憤りを覚えたはずだ」
彼女は、疑問に思った
大分性格が変わったな、と
なかなかの猫被りだったらしいロアは今にも暴力に訴えてきそうだ
「ロア嬢、ルーラーにはそんな感情を持つことは許されないのさ。フェアじゃないからね」
うぐ、と何か言いたそうなのを抑えたロアに名探偵は少し悲しそうな顔をした
もちろん、演技だろうが…
「ロアちゃん、もし先輩…キャスターが卑怯な手を使っててもそれは彼の勝ち。そして君の負け。ランサーは素晴らしい人だったが今回ばかりは運が無かったのさ」
ロアは震えだした
怒りか涙なのかは彼女にはわからなかったが…ロアは走って出て行った
ふう、と名探偵も彼女もホッとため息をついたところでキャスターの存在を思い出した
「始めまして、ですよね?先輩のマスターさん」
「ああ、そうだな」くらいしか返事をしてこないインテリ眼鏡
「あー…こいつこういう奴なんだよ、すまん」
キャスターが代わって紹介をしてくれた
マスターの名はシリル・ブルースター
ドイツからはるばる来たらしい
「でもドイツって魔法のイメージあんまりないんですけど」
「ああ、我が母国は科学だ。だから俺はイギリスまで行って学んできたんだ」
「へえ…」
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はやみん(プロフ) - 哀楽さん» 面白かったです!作ってくれてありがとうございます! (2019年3月29日 8時) (レス) id: 85277bc3a9 (このIDを非表示/違反報告)
哀楽(プロフ) - はやみんさん» ありがとうございます!これからも少しずつですが更新していこうと思います (2019年3月16日 2時) (レス) id: 323c3ce1b6 (このIDを非表示/違反報告)
はやみん(プロフ) - 面白かったです! (2019年3月15日 20時) (レス) id: 85277bc3a9 (このIDを非表示/違反報告)
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