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鼻唄交じりで彼女はキッチンにいた
野菜を切っているだけで何がそんなに楽しいのか名探偵にもわからなかった
「一口小さそうだよね、ホームズって」
「なんでそんなことを?」
「イメージだよ、単なるね」
「結果はどうか分からないのに言うのか、君は」
「きっちり結果を見てからなんてまどろっこしいじゃないか」
ありえない、と言葉にはしないながらも目がそう語っていた
「まあ私は自分がそこまで小さいと思わないから君に合わせてやろうじゃない」
「不服だがまあそれでいいだろう」
結局認めたということでいいのか、という言葉は彼女の心の中に収めた
キッチンだけでなく、食堂あたりまでもがチーズの匂いになったころ彼女は全ての食材を切り終えた
「できた」
「いただきます?」
「そうだね、いただきます」
食材をテーブルに並べて手を合わせた
「ちくわ買ってみたけど合うかな」
「合わなかったら全部君が食べてくれ」
「しょうがないな」
ちくわはチーズと合った
ちくわにチーズを入れた商品があるのも納得のおいしさだった
パンや野菜は安定の美味しさだった
しかし、余った
「君、分量間違えたね」
「あは、そうみたい…久しぶりすぎて」
「4人分はあるぞ」
「前までそうだったからかな」
久しぶりで調子乗っちゃった、と笑っていたが何かおかしかった
「すまない、私は空気を読めないとよく言われるが聞かせてもらおう。君の家族とやらは聖杯戦争に関することで死んだんだな」
「まあね、でもそこまで良い家族とも言えなかったし」
「しかし家族は家族とか言うんだろう?」
「ああ、そうかもしれない」
「じゃあ、よりこの仕事をするべきだ。裁けるんだ、犯人を」
彼女の目がギラついた
しかし一旦目を閉じて考え込んだ
冷静に、冷静にしないと折角のチャンスを逃すかもしれない
落ち着かなければ
「あー…君は唆すのがうまいんだね」
にこにこした営業スマイルで落ち着こうとしたが心臓は早鐘を打っているままだ
「まあね、どうだい?今までよりも本気でできるだろう?」
ある種の賭けだろう
名探偵といえど神ではないのだから彼女の心情などわかる訳もないのだから
しかし彼には分かっていた
彼女は必ずこの話に乗る、と
だが名探偵の心情も彼女にはわからない
自分のことでいっぱいいっぱいだ
「ああ、もちろんだ」
名探偵が賭けに成功した瞬間だった
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はやみん(プロフ) - 哀楽さん» 面白かったです!作ってくれてありがとうございます! (2019年3月29日 8時) (レス) id: 85277bc3a9 (このIDを非表示/違反報告)
哀楽(プロフ) - はやみんさん» ありがとうございます!これからも少しずつですが更新していこうと思います (2019年3月16日 2時) (レス) id: 323c3ce1b6 (このIDを非表示/違反報告)
はやみん(プロフ) - 面白かったです! (2019年3月15日 20時) (レス) id: 85277bc3a9 (このIDを非表示/違反報告)
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