すきなのに (ページ2)

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１話ページ2

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ファンの子たちにもみくちゃにされそうになりながら
初めての握手会の列に並ぶ。

ファンを数年続けるものの初めての握手会でドキドキしてる。

もうすぐそばにあの憧れの7人組が。

『こんにちは〜どこにサイン書けばいい？』

『こっ、こんにちは、ここに……』

ニコニコしながら笑顔を崩さずサインを書いてくれるテヒョンくん。

さすがアイドルやっぱり笑顔は消えないんだね。

『あれ？』

書いている手を見つめているとあれと声を上げるテヒョンくん。

私の顔をのぞきこんで自分の手をヒラヒラさせる。

『手、繋がなくていいの？』

『手っ、手汗がすごいから繋がなくていいの!!見てるだけで十分だよっ』

恥ずかしながら私も手をひらひらするとぐいっと手を掴まれ深く手を絡めてくる。

『えっ、あっ。えっと……サインは……』

『ん？終わってるけど？』

これはアイドルの女の子なれをしてるって言うことなのか私が動揺する度にきゅうっとまた強く手が、私の指とテヒョン君の指が絡まってくる。

どんどん近づく彼の顔で心臓がバクバクと、強く脈打つ。

彼の顔がどんどん歪んで見えてくる。

体全体が心臓になったみたいに暑くなってくる。

『俯いてばっかでどうしたの？具合悪い？スタッフ呼ぼうか？』

『い、いえっ大丈夫です……』

女の子の黄色い声が頭上を駆け巡る。

ここで迷惑かけちゃいけない。

ゆっくり立ち上がると足元がふらつく。

『わわっ、大丈夫!?』

彼の手がきゅっと手首に伸びてきて

心地いい体温が伝わってくる。

重い瞼がふっと閉じた。