かっこよくて強くはないけど、誰かは守れる刀剣

１０振り目:記憶障害 ページ12

堀川side

『.....悪い、誰だ...？』

訝しげに、本当に知らないという顔で兼さんの口から出てきたとき僕の...いや、僕たちのなにかが壊れたような音がした

加州くんと安定くんなんて話しかけようとした姿勢で固まっている

曽「お、おい和泉守どういうことだ？」

長曽祢さんが戸惑いながら聞けば兼さんはビクッと肩を揺らして答えた

『...元の主が、土方さんで、新撰組の刀だったってことはわかるんだが...それ以外は、なにもわからねぇんだ...もちろん、あんたのことも』

僕たちのことがわからない

兼さんは、僕たちのことだけ記憶を消されたってこと？

それとも、前の本丸で兼さんが僕らを折らされることになって...それで忘れちゃったの？

...もしかして、記憶を消されて前の本丸に幽閉されて...

なにもわからないようにされて、いいようにーーー

姥「！落ちつけ兄弟！」

堀「...兄弟」

兄弟が肩を強く叩いてくれて助かった。おかげで「あちら側」に行かなくて済んだ

気づくと加州くんと安定くんはそれぞれ兼さんの手を掴んでいた

加「俺、加州清光！あんたは清光って呼んでたから！」

安「僕は大和守安定！和泉守は安定って呼んでたよ！」

堀「！」

『お、おぉ...？』

曽「ハハハッそこの二人は沖田総司の刀剣でな。俺は近藤勇の刀剣、長曽祢虎徹...の贋作だ。改めてよろしく頼む」

長曽祢さんも、二人の行動の意味がわかったのか改めて名乗り直していた

...そう、だよね。起こってしまったことは変えられない。それなら、また一緒に思い出を作っていくしかない

兼さんのひどい記憶を、ここでの楽しい記憶で消せるくらい...ね






堀「兼さん、僕は堀川国広。兼さんと同じ土方さんの刀剣で、兼さんには国広って呼ばれてたんだ」ﾆｺｯ

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