約束は呪いに呪いは祝いに (ページ41)

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３５呪目:結末はページ41

帰り道... 凛月side

これ以上あの兄者と話しても無駄だと悟った俺は沙羅を抱いて帰り道を歩いていた

...たしかにさぁ、千景は兄者が大好きで兄者のためならなんでもするようなやつだけど

家族とか仲間とか、そういう自分の内にあるものを全部捨ててまで他人に尽くせるのかな？

...いや千景ならできそう。子どものときにうるさい親戚連中の前で「兄者個人に仕えてるからお前らの命令なんか誰が聞くか」みたいなことを言ってたよ、うん

めちゃくちゃ怒られてたよねぇ、あのとき。でも兄者だけは嬉しそうで...いま思えば、あの頃だろうね。兄者と千景が「契約」したのは

...千景は、あれを幼少期の呪いみたいな「約束」だと思ってるだろうけど

沙羅「...お兄ちゃんはきっと、零さまのためなら...全部、捨てられるんだと思います。それだけの強さが、お兄ちゃんにはあるから...」

凛「そっか...ごめんね、沙羅。もしかしたらうちのバカが沙羅の大事なお兄ちゃんを盗っちゃうかもしれないから」

俺の首にしがみついたまま沙羅は首を横に振ったけど、肩に染みる冷たいものはどうしても無視できなくて少しだけ乱暴に頭を撫でた

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病室... 零side

零「...すまぬな、千景。お主の唯一無二の妹を、泣かせてしまったかもしれぬ」

未だにその瞼を開くことのない愛し子...いや、それ以上の存在である愛すべき使用人

幼少の頃から我輩を「朔間零」として見続けてくれたその男を...我輩はどうしても手放すことなどできなかった

例え失敗が多すぎて邪法と呼ばれるようになった呪いを使ってでも、手元に置いておきたかったのじゃよ...まったく、愚かなことじゃ

『.....っ』

零「！？千景...！」

二週間ぶりに、美しき紫水晶のような瞳を見せた千景は

なにも宿らぬ空虚な瞳で最初の一言を放った

...

『ーーー...誰？』