32呪目:憎悪と憤怒と怨嗟と* ページ37
時は流れ、春... Noside
英智の手による「革命」は五奇人、日々樹渉の処刑により幕を閉じた
...大多数の幸せのために少数を切り捨てる。そんな方法で作られた平穏は、多くの人間の心に深い傷を与えた
五奇人も三奇人となり、学院の権力は生徒会へと完全に移っていた
.....そんな光によってできた影の中、その深淵にも近い場所
そこでは傷つけられ、貶められ、愚弄された存在が息を潜めていた...
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『みかさま、おひさしゅうございます』
み「千景兄ィ!わざわざ来てくれたん?」
『えぇ。色々と奔走していたためみかさまに全てお任せしていたこと、誠に申し訳ございませんでした』
み「ちょっ千景兄ィ頭上げて!おれが好きでやってることなんやから!」
fine...正確にはfineの信奉者によって舞台を壊されて以来宗は心に深い傷を負い、引きこもりがちとなってしまった
その件からなずなもValkyrieから離れ、1年生たちのユニットの方へと行ってしまい関係は疎遠という言葉が優しく聞こえるほどに離れてしまっていた
だがみかは、みかだけは、Valkyrieの復活を信じて宗の身の回りの世話をしたり、校内アルバイトで資金をかき集めていた
千景もそれを理解し、崩壊の瞬間に立ち会えなかった贖罪のために奔走しているのである
『...本当に申し訳ございませんでした。「あのとき」私も立ち会えていれば...!不当に貶められることを回避できたかもしれないというのに...!』
み「そんな気にせんでえぇよ?千景兄ィが重たい病気持っとるのは最初から知ってたし、いつ悪化するかわからんくらいあぶないもんなんやろ?」
み「それでもおれたちと一緒に舞台に立ってた千景兄ィのこと、尊敬はしても恨むわけないやん。おれは大好きやで?」
『っ...!』
みかの本心からの言葉に泣き出しそうになるのをこらえた千景は拳を握りしめて問いかけた
『宗さまは、お部屋ですか?』
み「おん、あっおれ買い物行ってきたいんやけど千景兄ィ頼める?」
『もちろんですとも。いってらっしゃいませ』
みかを見送った千景は宗の部屋に入る
どこを見ているかもわからないがらんどうな瞳の宗の側へと近づき、その手を取って努めて柔らかい声で話しかけた
『お待ちください、宗さま。Valkyrieは滅びません。いまは気が熟すのを待ちましょう。憎きあの男を煉獄に叩き落とすその日まで、私はこの身に宿し続けます』
『憎悪と憤怒と怨嗟で彩られた黒い炎を...!!』
ドロリとした薄暗い瞳で、悪魔は復讐を宣誓した
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今年の更新はこれで終わりです。みなさまよいお年を
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ぬん(プロフ) - 世界観がとても好きです。更新楽しみにしています! (2019年1月6日 23時) (レス) id: bc5dc7d709 (このIDを非表示/違反報告)
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