４皿目:御侍の実力 ページ7
Noside
パステル・デ・ナタとともに経営をはじめてから三日。イオリは、彼以外の食霊を呼んでいなかった
先輩御侍からもらった幻晶石と霊火は最初の契約も含めて食霊を三体呼べる量があったのだがイオリはそれを店の金庫に閉まってしまったのだ
「一人ともコミュニケーションがとれてないのに連続で呼ぶわけにはいかない」というのがその理由だ
うまくいくか不明だった二人の関係だが、イオリが頼んだことをパステル・デ・ナタはちゃんとこなし、パステル・デ・ナタの距離感を早々に理解したイオリはその距離感を守った
そのため、淡白な関係だがわりとうまくいっていたのだ...「あんなこと」が起こるまで
その日は店を閉め、二人で食材調達に向かってた帰りだった。必要な食材の他に失われた食材まで手に入れることができたイオリはテンションが高く、それに感化されてパステル・デ・ナタも機嫌がよかった
そんないい日に、堕神が襲ってくるなど誰が予想できただろうか。しかも襲ってきたのが酒呑童子一体ならまだましだっただろう
パステル「ぐっ...！」ｽﾞｼｬｧｯ!
『パステル！...なんでこんなところに暴飲王子が！』
暴飲王子。光曜大陸においては有名な堕神だ。常に酔った状態であり、気性が激しいことでも有名である
その力は強力で、契約を結んだばかりの料理御侍が戦うべき相手ではない。しかもこの暴飲王子、ときたまに酒呑童子とともに現れるのだ
二人の前には、暴飲王子と酒呑童子が二体の計三体が立ちはだかっていた
パステル「っ...お前は逃げろ。時間稼ぎくらいならしてやる」
『なんでそうなるんだよ！？できるわけないだろ！』
パステル「足手まといだって言ってるんだ！食霊一人いなくなってもまた呼べばいいだろ！」
その発言が、イオリの古くなった傷口を抉り鮮血を噴き出させた
突然黙って下を向いたイオリを訝しげに見ていたパステル・デ・ナタだが、いきなり暴飲王子たちめがけて駆け出したイオリを止めることはできなかった
パステル「なっ！？おい待て！！」
酒呑童子たちや暴飲王子の雨あられと降り注ぐ攻撃に一切怯まず、腰に佩いていた刀に手をおくと
ザンッ！！
一瞬の内に三体まとめて、居合術で斬り倒していた。これには食霊であるパステル・デ・ナタも驚いている
が、やはり人の身で戦場を駆けるのは無理があったのだろう
『っ...くっそ痛い...』
イオリは雷に打たれた大木のようにゆっくりとその場に倒れ込んだ
...彼が最後に聞いたのは、聞いたことのないくらい焦った声をした相棒のものだった
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カトレヤ(プロフ) - クロさん» コメントありがとうございます！これからもがんばりますね！ (2018年12月22日 10時) (
レス) id: cdce025386 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 人形の魔女と蒼目の蛇の作品から好きで、時間があるときにちょこちょこ覗きに来ています。 どの作品も面白く、ついつい時間を忘れてしまいます(笑) (2018年12月22日 9時) (レス) id: c84c961557 (このIDを非表示/違反報告)
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