１６皿目:両親の道 ページ19
ナイフラスト... 教会共同墓地 イオリside
青石村より離れた場所にある小さな教会
海の見える冷たい風が吹きつけるそこが、俺の両親が眠る場所だった
『...ひさしぶり、父さん、母さん』
道中で買った花束を供えて、手を合わせる...あれからもうずいぶん経った。力もなにもなかったガキの俺が、食霊を従える料理御侍になった
逃げることしかできなかった俺が、居合い術を覚えた。考古学研究をしていた父さんの道を進んでいたのに、いつの間にか
俺は母さんと同じ、料理御侍の道を進むことになるとは思わなかった
...いや、母さんは正式な御侍じゃなかった。一応登録はしてたみたいだけど惚れた父さんにずっとつき合うために考古学研究者の道につれ添った
そして、母さんが召喚した食霊は...たった一人だけ。あの人は「広く浅く」じゃなくて「深く狭く」を信条とする人だったから...いやがってたけど、最終的にあいつも受け入れて仲よくやってたな
...そいつは、あの忌々しい日に俺たちを守るために殿を務めて、そしてそのまま消滅してしまった
いつも持っていた、武器にもなっていた道具を遺して
「来てたんだね、イオリくん」
『おひさしぶりです。神父さん』
白髪の穏やかそうな老人はこの教会の神父であり、両親が亡くなった俺の身元引受人になってくれて、両親の墓も建ててくれた恩人としか言えない人だ。いまの俺があるのはこの人のおかげだ
『あの...両親のものは』
神父「もちろんだとも、連絡をもらってからきちんと押し入れから出しておいた。ここは寒いから、早く行こうか」
『...ありがとうございます』
父さんは、日記をつけていた。子どもの頃からのそれはすべてがきちんと残っている
それを見ればきっと...蛇君と父さんの「約束」がなにかわかるはずだ
ーーーーー
Noside
イオリと神父が教会の方に向かったのを見送ってから近くの墓石に隠れていたパステルは立ち上がった
イオリは墓参りに食霊を、殊更パステルをつれていくのをいやがった。今日こそはその理由を突き止めてやろうとあとを追ってきたのだ
(ちなみにいままでは口論の挙げ句にフライパン灼術でぶっ飛ばされていた←)
先程まで二人のいた墓石へと近づき、目の前に立ったパステルは...絶句した
パステル「なっ...！？」
そこにあったのはさっきイオリが置いた花束の他にもう一つ
錆びて古びた...パステルにとって見慣れた、泡立て器だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カトレヤ(プロフ) - クロさん» コメントありがとうございます！これからもがんばりますね！ (2018年12月22日 10時) (
レス) id: cdce025386 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 人形の魔女と蒼目の蛇の作品から好きで、時間があるときにちょこちょこ覗きに来ています。 どの作品も面白く、ついつい時間を忘れてしまいます(笑) (2018年12月22日 9時) (レス) id: c84c961557 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
