５７品目:家族の味のプリン ページ24
柘榴side
『はい。昔とくらべて味はよくなったと思うよ』
なんて言いながらスプーンと一緒に置けばポカンとした表情でその流れを見ていた
『...茨？』
茨「！あっすみません！いただきます！」
『？あぁ、めしあがれ』
なにを慌てているのか茨はかなりの多めの量のプリンを口に放り込んで...うつむいた
『！？どうした？まずかったか！？』
待て待て待てなにかしくったか！？いや分量もなにかも完璧だった！じゃあなんで！？
茨「...やっぱりそうだった」
『え、』
一人で脳内パニックになっているところに響いた、なにかを悟ったような声に固まった
茨の手は、どこか震えていた
茨「殿下...巴日和さんが、以前ここのプリンを買ってきたんですよ...その味が、兄さんのものとそっくりだった...カラメルの苦さも一緒だった」
茨「忘れかけてたのに...頭の中に封印してた記憶が甦ったんですよ...親に捨てられたとき、ずっと一緒にいてくれたこととか、訓練のとき色々助けてくれたこととか...」
カウンターの上に黒い染みができていくのに対して、俺はなにも言わなかった
...にしてもEdenのメンバーに日和くんがいたとは...そのときから、茨は俺の存在を感じてたんだな
茨「ずっ...と、会いたくて...！でもっ...死んだとっ思ったから...！そんなわけないって...！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
泣き出す弟の顔を見ずにぐしゃぐしゃとその頭を撫でる。泣き顔見られるなんて、男として恥ずかしいもんな
『ほら、プリンまだあるから。たくさん食え』
茨「っはい...！」ﾎﾞﾛﾎﾞﾛ
泣きながらプリンをがっつく茨の頭を、俺はずっと撫でていた
...俺の頬に流れるものを無視しながら
ーーーーー
茨「今日はすみませんでした...突然押し掛けた上に、営業時間を裂いてしまって...」
『気にしなくていい、せっかく弟が来てくれたんだ。そっちを優先するさ』
目元を赤くはらした茨は意を決したように声をかけてきた
茨「兄さん、よければその...自分と...」
『ん？』
茨「...いえ、なんでもありません」
最後を聞き返せば、悟ったような顔で誤魔化されてしまった
『いつでもおいで、プリンくらい作ってあげるから』
茨「兄さんも経営に困りましたらいつでも訪ねてくださいね！微力ながらお手伝いしますよ！」
『ハハハ...そんな理由で訪ねないように努力するよ』
...わかってるよ。なにが言いたいかは。だけどそれは望めない
だって俺たちは、戸籍上は他人なのだから
茨「...それでは、帰りますね」
『あぁ、またおいで』
遠くなる背中を見送って、俺は店の中に戻った
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佳乃(プロフ) - とっても面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年10月10日 4時) (
レス) id: e3737ad166 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます。すごく面白かったです。また、別の作品が出ましたら、楽しみにしてます。 (2018年10月8日 22時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
まっどさいえんてぃすと（笑）(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったので、これからも頑張って下さい！別の作品が出たら楽しく拝見させてもらいたいです。 (2018年10月8日 21時) (レス) id: a0f994ede7 (このIDを非表示/違反報告)
カトレヤ(プロフ) - さとうしお*さん» コメントありがとうございます！あったかいお話なんてはじめて言われました...！ (2018年10月8日 19時) (レス) id: cdce025386 (このIDを非表示/違反報告)
さとうしお*(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´ω｀*) とっても面白くて､温かいお話でした｡ (2018年10月8日 19時) (レス) id: e621729321 (このIDを非表示/違反報告)
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