５６品目:知らなかった間 ページ23
柘榴side
茨が泣き止んでから、俺たちはカウンターに座ってこれまでのことについて話した
茨は俺が戦死した後(実際生きてるが)、弓弦もいなくなって一人で過酷な訓練に励んでいたこと
中学生に上がるくらいの年になって、じつは俺たちが芸能界のドンが間違いで作ってしまった子どもの子孫にあたることが発覚したこと
茨は顔も知らない曾祖父の莫大な相続税つきの財産と赤字で破産寸前の会社を引き継いで施設を出たこと
それからは企業の立て直しのために算盤と向き合う灰色の青春を送っていたそうだ
その後なんの因果か、曾祖父が囲っていた子ども...あの凪砂くんと出会い、Eden及びAdamを結成したこと
いまは会社を経営して、アイドル活動をして、学校生活を送る...なんていう三足のわらじを履いているそうだ
『...一つの物語を聞いているようだったな』
茨「自分だって当事者でなければ笑い飛ばすんですがねぇ...作り話でもなんでもなく、すべて事実ですよ」
ｸｽｯ
『わかってるよ、お前は俺にだけは嘘をつかない。昔からそうだろ』
「自分」ね...猫かぶり続けた結果得たものか。この子はなにも変わってない。多分、俺と弓弦がなくしたものをこの子はなくしてない
...いや、なくせなかった
『...茨』
茨「はい？」
『プリン食べる？』
ーーーーー
茨side
その言葉に無意識ながら頷いてしまい、兄さんは昔となに一つ変わらない笑顔で自分の頭を撫でて厨房に入っていった
...七年ぶりにあった兄さんは、あの頃の殺気にも似た冷たい威圧感がなくなり、ずいぶんと丸くなったようだ
それも当然か、七年なんて時間がたてば変わらない方が難しい。事実、自分だって変わったと思うし
.....記憶をなくしていたなんて思いもしなかった。そのせいで探したくても探せなかったことも
いや、「俺」も悪いか。ショックすぎて言葉をそのまま受け止めて...「そんなことない」って思えたのは施設を出てからだからな...
『おまたせ』
自責の感情をグルグルさせていたところに戻ってきた兄さんは
白い平たい皿に、カラメルソースがたっぷりとかかった正にバケツをひっくり返したような形のプリンを
あの頃よく作ってくれていたものを持っていた
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佳乃(プロフ) - とっても面白かったです！完結おめでとうございます！ (2018年10月10日 4時) (
レス) id: e3737ad166 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 完結おめでとうございます。すごく面白かったです。また、別の作品が出ましたら、楽しみにしてます。 (2018年10月8日 22時) (レス) id: d2016535f2 (このIDを非表示/違反報告)
まっどさいえんてぃすと（笑）(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったので、これからも頑張って下さい！別の作品が出たら楽しく拝見させてもらいたいです。 (2018年10月8日 21時) (レス) id: a0f994ede7 (このIDを非表示/違反報告)
カトレヤ(プロフ) - さとうしお*さん» コメントありがとうございます！あったかいお話なんてはじめて言われました...！ (2018年10月8日 19時) (レス) id: cdce025386 (このIDを非表示/違反報告)
さとうしお*(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´ω｀*) とっても面白くて､温かいお話でした｡ (2018年10月8日 19時) (レス) id: e621729321 (このIDを非表示/違反報告)
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