聡はペット

episode.18 ページ18

聡side





「僕の飼い主になってください」





コンサートでファンの子に向けてよく言う言葉





まさかプライベートで誰かに言う日が来るなんて





でもまっすぐ目を見て言ってくれたお姉さんに





応えたい、って思ったんだ





「お花？…ダリアだ」





「最近、お花を見るのが好きで。花言葉は、感謝です」





「綺麗。嬉しい…ありがとう」





お姉さんはダリアを見て喜んでくれた





そして俺の頭を優しく撫でてくれて





すごく安心した









「ペットに食事を与えるのは飼い主の役目ですから」





そのあとお姉さんはそう言ってごはんを作ってくれた





女の人に手料理を作ってもらった経験なんて





もちろんお姉ちゃんくらいだったから





ソファに座ってずっとその背中を見つめていた





「できたよ」





そう言って出されたのはオムライス





しかもケチャップで「LOVE」と描かれていた





憧れのシチュエーションそのもので





相手は彼女じゃなくても





ペットとしてしか思われていなくても





めちゃくちゃ嬉しかった









お姉さんはそのあと





お風呂に入ろうと言って来たり





違う名前を教えて来たり





とにかく俺をからかって楽しんでいた





「だって聡くん可愛いんだもん」





そんなふうに言われて照れっぱなしの俺





恋愛経験とか全然ないし





それにこんな綺麗で可愛いお姉さんのペットになるなんて





やっぱり実感わかないや

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