べっつに〜？ ページ8
小ぶりなイヤリングと、いつもはまとめる髪を一つに結び、できるだけ女性に見えるように身なりを整えた。
チーノの髪は短かったため、特注でカツラを作ってもらい、長い髪にしてもらった。
レディシティに向かう馬車の中は会話すらない、素晴らしくつまらない旅路であった。
これから気を張るのだと思うともう既に来た道を引き返して、ひとらんらんと幹部の皆と共にご飯を食べたかった。
道路はある程度整備されており、端に寄せられた灰が高く積もっていた。
wrwrd国の部隊が乗った馬車が次々に車輪跡を付けていく。
キャンプ地に着けばさっとテントを張り、責任者の説明を受けて、すぐに炊き出しの用意を始めた。
ci｢さて、wrwrd国の皆さんはエテルニテ王国の皆さんと正午に食料配給ですわよ〜｣
普段より調子に乗った高い声で、分かりやすいほどのお嬢様口調を使って喋るチーノを見ていると、逆にバレないか不安になってくる。
女性の軍人を見てみなさい、もれなく全員、笑いを堪えているだろう。
馬車から積荷を下ろして、火を焚き始めていると見慣れた影が通り過ぎた。
os｢あ、｣
その声にこちらを振り返った彼は、いかにも女性らしい髪型に、オシャレのつもりなのかダサいバレッタでハーフアップにしていた。
ご丁寧にイヤリングまで付けていたが、これもまた彼の趣味とは思いにくい代物だった。
彼はオスマンがいると思わなかったのか、目を丸くしたが、決して口にはせずにそのまま知らない人のフリをした。
確かに最後の別れ方はあまり良いものではなかったのかもしれない。
ついさっき、彼と出会うまで感じていなかった気まずさが、オスマンを襲った。
この場合どうやって仲直りをすればいいのか？そもそも喧嘩なのか？？
彼の触れてはいけない部分へ踏み込んだ代償かもしれないが、やはり友好関係を築くことに悪いことはない。
可能な限りの関係修復を試みようと決意した。
そんなオスマンと彼のギクシャクとした様子を、噂話が好きなチーノが見ないはずがなかった。
チーノは鬱と並ぶほどの情報通であり、また人を騙すことも達者な人間性であった。
ci｢ふーん…｣
os｢なんや、チーノ｣
ci｢べっつに〜？｣
声が上ずっていることに気がついたオスマンだが、またなにか企んでいるのだろうと見逃すことにした。
チーノは面白いことを思いついた悪い顔であった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかまる(プロフ) - まおさん» ご報告ありがとうございます。気づくのが遅くなって申し訳ないです。 (3月1日 0時) (
レス) id: b37e4ba748 (このIDを非表示/違反報告)
まお - オ.リ.フ.ラ.立ってますよ。ルール違反になってしまうので外したほうが良いと思います。 (2月23日 3時) (レス) id: aa7b758126 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あかまる | 作成日時：2024年2月20日 13時
