どういたしまして ページ25
彼はぎゅっと口を結んだ。
誰かにとって大切な人が目の前で失われるのを黙って見ていることは、できないと分かっていた。
覚悟を決めて、彼は深く息を吸って長く吐いた。
瞼でほんの少し隠れたその瞳は、先程よりも清々しく透き通っていた。
｢ありがとうございます。
大切に……使わせていただきます｣
os｢どういたしまして｣
彼は長い間お辞儀をしていた。
オスマンは彼が気に入った剣か気になってはいたが、気の済むまで付き合ってあげようと、強制的に顔を上げることはひなかった。
重たい金属の響きが町中を震わせた。
十七時を知らせる鐘であった。
本国とは全く違った重厚な音に最初は驚いたが、昼と夕方の一日二回鳴らされるため数日すれば慣れてしまった。
｢あ、お先に失礼します｣
鐘がなり終わぬ前に彼が颯爽と去ってしまう。
気を利かせたひとらんは彼を引き止めが、彼は船の出航時間が近いと言って走っていった。
タイトなスケジュールを組んでいたのだろう。
em｢早急に決める事案があります｣
wrwrd国の定例会でエーミールが議題に上げたのは、最近流通しているドラッグに関してであった。
通称ドリームトラップと呼ばれるその植物は、依存性が強く人を堕落させる作用がある。
A国のとある科学研究所が様々な麻薬を交配させて生み出した人工植物で、A国では闇市に流通してしまい全てを取り締まることができていない。
しかも加工がしやすく、一見お菓子に見える代物もある。
我が国に依存者が増加する前に対策をねらなければならなかった。
gr｢その麻薬に対して何かいい案はあるのか？｣
em｢実は、弱点がひとつあるのですが……｣
弱点を持たないものは存在しない。
例えば他の麻薬は、刺激臭が確認されている。
さて、このドリームトラップの弱点とは、育てられる環境が非常に限られていることである。
そのため、現在ではA国内の研究所で密かに製造されていると噂されていたが、今回エーミールがその場所をつきとめたのであった。
tn｢他国やと下手にバレて、外交問題に発展するかもしれんな｣
em｢つまり、この基地を襲撃するには隠密行動が前提条件になってきます｣
普段であればこの大役を買うのは、動植物関連の仕事をするひとらんらんである。
しかし、ひとらんはオスマンと東国に行っており、別の人が任務にあたる必要があった。
四週間の休暇のうち残り二週間であるため、帰ってくるまで待てないのだ。
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あかまる(プロフ) - まおさん» ご報告ありがとうございます。気づくのが遅くなって申し訳ないです。 (3月1日 0時) (
レス) id: b37e4ba748 (このIDを非表示/違反報告)
まお - オ.リ.フ.ラ.立ってますよ。ルール違反になってしまうので外したほうが良いと思います。 (2月23日 3時) (レス) id: aa7b758126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかまる | 作成日時：2024年2月20日 13時
