君を助けたいと思うのは ページ24
沈黙する彼にオスマンはとうとう自身の最大の決め手を使った。
os｢そんなに王様に忠誠を誓いたいなら、"忠誠をの継承"をやればええやん｣
｢な、なぜそれを……！｣
剣を亡くした彼のために、どうすればいいのかオスマンはエテルニテの文化を広く調べていた。
そこで得たのは、自分が気にいる剣を見つけた場合、王様からの承認を得て儀式を行えば、使うことが出来るという例外的な処置であった。
オスマンがそれを知っていたことに、彼は度肝を抜かれたようであった。
そこまで調べあげるとは思わなかったのだ。
もはや軍配はオスマンに上がったも同然である。
os｢何が君の選択を阻んでいるん？｣
それでもなお、答えを決めない彼に、オスマンはできるだけ歩みよる姿勢を見せた。
もしくは、彼自身はその剣を欲しいと思っている、そう言って欲しかったのかもしれない。
暴君のせいで体裁を気にしなくてはならないから、受け取りたくい、と。
彼の口から助けて欲しいと言ってくれれば、それこそ、オスマンは何時でも彼を助けることは出来るのだ。
｢………まだ分からないんですか？｣
彼はきゅっと唇を噛んだ。
言おうか言わまいか、最後の最後まで悩んで、悩みきって、それで叫んだ。
溢れそうな想いに蓋ができずこぼれ落ちた。
悲痛な叫びでは無かった。
行き場を失った涙であった。
｢あなたの心配がいらないと…そう、言っているんです！｣
拒絶。
与えられる思いやりに慣れていない困り顔。
夕暮れの日差しが鍛冶屋の入口を橙色に照らす。
店の外からは買い物に出かける主婦や帰路を歩く子供の声で明るくなっていたが、店内は歩く音さえも響いてしまいそうであった。
深刻そうな彼にひとらんのお父さんも何か異変を感じたのか、気まずそうに口を閉じていた。
ひとらんが通訳をしないかと、ちらちらとひとらんを見たが、この状況をなんと伝えれば良いのか、ひとらん自身も難しい問題であった。
os｢……君が俺らの仲間を助けてくれたように、君を助けたいと思うのは、俺の想いはそんなにいらないことなんか｣
鬱を無差別テロから救うために解毒薬を渡してくれた時も、ショッピ解放の為にコネシマ達をスゥイク神殿から逃してくれた時も、辻斬りの始末も、全部大元が誰なのか知っていた。
知っていて、彼の隠すという判断の元、答えを誰にも打ち明けなかった。
｢全部、私だと知っていたんですね……｣
os｢心配がいらへんと言うなら…、もう俺らを助けんくてええわ｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかまる(プロフ) - まおさん» ご報告ありがとうございます。気づくのが遅くなって申し訳ないです。 (3月1日 0時) (
レス) id: b37e4ba748 (このIDを非表示/違反報告)
まお - オ.リ.フ.ラ.立ってますよ。ルール違反になってしまうので外したほうが良いと思います。 (2月23日 3時) (レス) id: aa7b758126 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あかまる | 作成日時：2024年2月20日 13時
