もし、買えなかったら… ページ22
｢まさか…これを私に…？｣
誰も何も喋らなかった。
特にひとらんは、このような仕上がりの剣が出されるとは思っておらず、とても混乱していた。
父親は、遠い異国から来た観光客に自分の剣の素晴らしさを理解してもらったのが嬉しかったのか、ついつい舞い上がってしまったのだ。
実際はひとらんが適当に通訳したのだが。
父｢どうせ、剣の素晴らしさをちっとも知らん華族共の自慢道具になるなら、彼に買ってもらった方がこの剣も嬉しいだろう｣
事の大きさに戸惑いはしたものの、ひとらんは自分の役目を思い出した。
未だあたふたしている彼の肩に手を乗せて、落ち着くように促した。
ht｢東国民の鍛治職人は、自分が決めた人に家宝を買ってもらう習わしがあるんだ。
…もう分かってるかもしれないけど、この剣は…｣
もちろん、そんな決まりは無い。
全てひとらんの口から紡がれるその場の嘘に過ぎなかった。
だが、ここで問題なのは彼はそういったでまかせを信じてしまうほど、世界の文化についてよく知っていたことだ。
｢もし、買えなかったら…どうすれば…｣
ht｢その場合は、親父は切腹しなければならない｣
｢せっ！？
そ、そんなに大事だったんですか！？｣
切腹は言い過ぎたかな、と思ったが、彼は俯きながら、侍が主人を失った時に行う切腹の文化について呟いていたため、疑うことなく信じているようだった。
いつもは冷静な彼が、慌てているのは珍しかった。
｢一度、自国に帰って我が王に相談してもよろしいですか？
今はこれを購入できるほどの大金を持ち合わせていないので…｣
彼が悩む中、店には一人の客が来店した。
硬貨をたっぷり含んだ袋を持ったその男は、迷うことなくカウンターにやってきて、その袋を置いた。
os｢これで足りるやろ？｣
｢なっ、オスマン様！？｣
彼が驚く中、オスマンは余裕の笑みを保っていた。
入口には先程出ていった犬と、それから新しい犬が尻尾を降ってご主人様の方に愛嬌を振りまいていた。
｢まさか、最初から…！｣
ht｢東国は通信技術が整ってないからね｣
普段はある程度設備が整っているwrwrd国で使える無線での連絡は、ここの土地では使えない。
しかし、仲間の安否をいち早く共有するために、動物を使う手を利用した。
オスマンの匂いを知っている犬とひとらんの匂いを知っている犬を用意し、ある特定の合図で相手の方へ向かうという調教をした。
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あかまる(プロフ) - まおさん» ご報告ありがとうございます。気づくのが遅くなって申し訳ないです。 (3月1日 0時) (
レス) id: b37e4ba748 (このIDを非表示/違反報告)
まお - オ.リ.フ.ラ.立ってますよ。ルール違反になってしまうので外したほうが良いと思います。 (2月23日 3時) (レス) id: aa7b758126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかまる | 作成日時：2024年2月20日 13時
