感謝します ページ15
チーノは彼の複雑な縦の関係を察して、彼のつけているバレッタを取ると真っ二つに折った。
顔面蒼白な彼に少しふざけた顔で、チーノはこう言った。
ci｢虐められて可哀想やな〜｣
つまりは王宮内で不遇な彼がここでも理不尽な目にあったということだ。
それが故意的であろうと偶然であろうと、バレッタを折られるという事実は虐められたことを如実にしている。
ci｢ええか、女装するなら拘らんと｣
チーノは細長い草を帯状の紐になるように契り、枝から何枚か葉を取ると起用に結び始めた。
一枚ずつ葉をずらしながらまとめると、近くに咲いていた花を、葉の根元を隠すように結び目に差し込んだ。
そして、ポケットからヘアピンを取り出すとU字に曲がったところに装飾を取り付け、彼の顔に掛る横髪を止めた。
即席のアクセサリーで、材料は安っぽいもののデザインは無難で争いの種を用いるのには、厳しい造りであった。
ci｢それやったら、帰る時には萎れて簡単に捨てれるやろ｣
｢本当に…｣
硬派な彼があまり慣れない笑顔を綻ばせるには、少々筋肉が動かないようで、口角が少し上がった程度であった。
そんな表情も普段から人を観察していて慧眼を持ち合わせるチーノには、なんなく感じ取れる誤差であった。
彼が張りつめている糸が、少し緩んで垂れ下がったような気がして、チーノ自身も嬉しく感じた。
ci｢はぁー、沢山踊ったから汗臭いわぁ｣
｢それなら、すぐそこに川が流れていますので水でも浴びてきたらいかがでしょう｣
彼が指した奥からは確かに水の流れるようなさわさわと心地の良い音が響いてくる。
だが、そこにたどり着くためには深い闇の中へ入り込んでいかなければならない。
一歩入れば神様などの類に隠されるような不気味な闇の奥へと踏み出す勇気は、チーノにはなかった。
ci｢え、君は一緒に行かんの？｣
｢私は…結構です。その…この後も少し鍛錬するので｣
何回か嘘を見破られたからか、嘘をつくことに迷いが見られた。
だが、鍛錬する、ということも事実であり、彼が断る理由がそれでないだけであった。
ci｢…なんや、まだ隠してることがあるみたいやな｣
｢…見せたくないだけです、とても酷いものなので、人に見せれるような心は持ち合わせていないのです｣
袖をぎゅっと力強く握りしめると、そこに向かっていくつものシワが寄った。
チーノはそれ以上深堀はせずに、渋々不気味な森奥へと向かっていき、汗を流した。
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あかまる(プロフ) - まおさん» ご報告ありがとうございます。気づくのが遅くなって申し訳ないです。 (3月1日 0時) (
レス) id: b37e4ba748 (このIDを非表示/違反報告)
まお - オ.リ.フ.ラ.立ってますよ。ルール違反になってしまうので外したほうが良いと思います。 (2月23日 3時) (レス) id: aa7b758126 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あかまる | 作成日時：2024年2月20日 13時
