【ツイステ】船長の冒険記Ⅱ (ページ48)

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不可解な空想都市ページ48

まるで、実際にあるかのようにそこに存在する都市。
これすべてを想像して、描いたというのか？
なんというか、ダメだ、全く言葉が出てこない。

ｴｰｽ「すっげー…。」

ﾃﾞｭｰｽ「これは、A先輩が・・・？」

エースもデュースも目が覚めたのか、きれいな絵に見入っている。
これだけの絵を描き切るだなんて、相当な時間を要したに違いない。
一体いつ、この膨大な時間を使ったというのか。
普通の子供たちは、ミドルスクールへ通うはずだ。

窓の外から甲高い声が聞こえた。
誰かが助けを求めている。
三人で小さな窓から声のもとをたどる。

ﾃﾞｭｰｽ「見つけた！！港町の方角だ！」

ガラスすらついていないこの穴は、身を乗り出せば落っこちてしまうかもしれない。
手に力を入れた時に、ふと痕跡を感じた。
それは、何かをはめ込んでいたことを主張している。

ｴｰｽ「あいつら…！森であった奴らじゃねーか！」

そのことに気が付けば、最悪な考えが頭を巡った。
この絵は、この部屋に閉じ込められたAがなにかの本を媒体として、あるいは、すべて自分の妄想からブラッシュアップして完成させた理想の外の世界。
白く塗りつぶしたということは、この世界が愚かな妄想だと馬鹿馬鹿しくなったから？
それとも、何らかの形で外の世界を知れて絶望したのかしら？

ｴｰｽ「あれー？ヴィル先輩、まだその絵を見てるんすか？
たしかにすごいけど、今はそれどころじゃないっていうか。」

すこしも考える時間を与えてくれないことが、癪に障るが、こればかりは推測よりも本人に聞くことが一番だろう。
そう、三人の子供たちを引っ張っている張本人に。

この塔からどうやって脱出しようか作戦を立てる前に、脚は身勝手に窓を乗り越え、遠い地面へ加速し始めた。
詠唱もしようと思ったつもりはないのに、勝手に口が風を呼び寄せる。

「(物語の強制力ね。)」

だんだんとこの力について考えることをやめている自分がいる。
抗えない力でもあるし、今回のように問題解決への糸口にもなってくれている。
なにより、自分が脳から直接指示を下したかのように違和感が全くない。

ふわりと着地すれば、足が勝手に港町の方向へと動き始める。

物語において、キャラクターの感情は必須である。
だから、彼らは知る由もない。
どこまでが自分の気持ちで、どこからが物語のレールに沿った考えなのか、もうすでにマリオネットだということを、彼らは気が付けない。