【ツイステ】船長の冒険記Ⅱ (ページ47)

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女王の気づきページ47

電気すら通っていないこの島は、星の明かりがとても鮮明に見える。
とても明るい星から、星屑と言われる砂のような星まで、真夜中の空の隙間を埋めつくしている。
星と星を繋げて形を作れば、その数は無限大にまで登ることだろう。
本当に、なんでも作れてしまうのだ。

すやすやと眠りについている一年生の隣でヴィルは、自身の自由を奪っている縄が表面に鋭利な物で傷つけられたようにほつれていることに気が付いた。
自然と縄が切れかかっているのか、それとも物語の力のおかげなのか、原因は依然としてはっきりとわからない。
不自然なチャンスを逃してしまうほど、時間が有り余っているわけではない。

ケイトたちと合流して、物語のユニーク魔法に入り込んでしまったことを伝え、今後の指針を決めたい。
全く、余計なことのおかげで校外学習の計画が真っ新な白紙に変わってしまったではないか。
さっさと仮想空間から現実世界へと帰らなければ。

少し身をよじれば、縄の締め付けが緩くなり、あっさりと外へ抜け出すことができた。
のんきに夢を見て、寝言をこぼしている一年生たちを起こそうと思ったが、立つことによってこの部屋の細かいところまで目が行くようになった。

使われていないクローゼットや埃をかぶった暖炉。
空気が悪いのはわかっていたが、この部屋はだいぶ使われていなかったのだろう。
天井はドーム状になっており、黒い柱と柱の間に白の壁が埋められているが、初心者が建築したのかというほど塗りムラがひどい。
近くのランプを灯し、その壁をよく見ようと高く上げ全体を見て回った。

いきなり明るくなったのか、一年生たちの寝心地が悪くなっているが、気づかずに一番塗りムラがひどい壁へ近づいた。

ｳﾞｨﾙ「(これは下に描かれているものを隠すために、わざと上から塗っているわね)」

黒で塗ればわかりにくかったかもしれないが、白であったためうっすらとその形が浮き出ている。

ｳﾞｨﾙ「何も失わず、何も恐れない。輝く王冠は私のためにある。
『美しき華の毒(フェアレスト・ワン・オブ・オール)』｣

何かを隠したこの壁は、本来の姿を取り戻す。
見せて。
あなたの本当の姿を。
教えて。
あなたが隠す秘密を。
この毒はあなたの嘘を溶かす。

じわじわと呪いがかかる。
天井まで続く壁には、空高く舞い上がる龍、一際目立つ時計塔、緻密なデザインの飛行船、空を泳ぐ白鯨。
いたるところに散りばめられた輝きを放つ蝶。
幻想世界が広がっていた。