遅刻者 ページ41
ｽﾐｽ｢船長はどうやって招待状を手に入れたんでしょうか？｣
話を聞く限り、一般人は永遠の孤島に行くことがかなり難しいようだ。
それなのに、船長とグリムさんを含めて7人を永遠の孤島へ向かえることができるのは、何故なのか？
ちっ、とレオナが舌打ちをした。
殴られるのではないか。
スミスの胃は先程から幾つか穴が空いてもおかしくないが、レオナは至って通常運転である。
一々大袈裟に反応されてしまうのは、うざったく感じるだろう。
ﾚｵﾅ｢お前、海賊船の舵取りできるだろうな？｣
ｽﾐｽ｢は、はい！完璧では無いですけど！！｣
ﾚｵﾅ｢ちょうどいい。着いてこい。｣
ジリーロジャー寮には、寮長だけが運転出来る船がある。
VDCのパフォーマンスに使うものだ。
着いてこいとは言われたものの、鏡の間を出るまで服の裏生地を掴まれ、引き摺られていた。
つまり、拒否権など存在しなかったのだ。
キングスカラー先輩に着いていくと、ジリーロジャー寮へ繋がる鏡へと入っていく。
ﾚｵﾅ｢船まで案内しろ。｣
ｽﾐｽ｢はい？｣
どうやら、海賊船へ案内して欲しかったようで、全く気がつけない自分は理不尽にキレられた。
もう、だから嫌なんです！！
心の中で悪態をつきながらも、渋々ジリーロジャー寮所有の海賊船へ案内する。
入ってすぐの桟橋に浮かんでいるのが、寮生たちの居住区である立派な海賊船。
その桟橋から海岸線を北に五分ほど歩けば森の茂みに隠れたもうひとつの海賊船が顔を出す。
躊躇なく船の中へ歩いていくキングスカラー先輩の後ろを、細々と歩く。
どちらが船の主かわからない。
ﾚｵﾅ｢通常なら1晩だが……、運転によっては2日かかるだろうな。｣
ｽﾐｽ｢どこかに行かれるんですか？｣
ちっ。
また機嫌に触ったようだ。
もう関わりたくないほどに、苦手意識を持っている。
ﾚｵﾅ｢永遠の孤島だ。オレが指示するから船を動かせ。｣
ｽﾐｽ｢あ、あいあいさー！｣
はっ、つい反射神経で言ってしまった。
キングスカラー先輩とAは、どこか似ているから、ふとした瞬間に癖が出てしまうが、相手はあんまり気にしていないようだ。
それよりも、はやく出港して欲しそうだ。
先生に校外学習の欠席連絡入れてないんですけれど……。
これから、どうなるんでしょうか。
とてつもない不安とともに、指針は孤島を指し、碇は船を自由にするがごとく硬い金属音を鳴らしながら外れた。
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作者名：あかまる | 作成日時：2022年11月6日 14時
