【ツイステ】船長の冒険記Ⅱ (ページ15)

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言葉にできない不都合ページ15

ユウside

砂漠の蛇は語る。

理不尽な生活を強いられてきたこと。
それによって積み重なった不満があるということ。

カリム先輩は、相変わらずと言っていいほどお人好しだった。
ジャミル先輩に同情したのか涙を流している。

ついには、今回のことを水に流して新しい関係を作ろうと言う。
だけど、他人のことを思いやれる人柄のカリム先輩の性格は、
ジャミル先輩には棘のように感じたけれど、多角的な視点で見れば長所なのだ。

と、盛大に告白したカリム先輩は、速攻でジャミル先輩に振られていた。
グリムは驚いていたけれど、僕は頬の筋肉が緩んでしまった。
現実は時にシビアなのだ。
断る理由に、カリム先輩の嫌なところをネチネチ言うところはジャミル先輩らしい。
というか、そんなふうに思っていたのによく今まで付き合いきれていたな。

そんな2人のやり取りは、まるでコントのように終わりが見えず、結局仲がいいんだろうな、と自己完結した。

周りを見れば、呆れ返っているわけで。
……あれ？

ﾕｳ「スミス先輩？」

今回、いちばん活躍してくれたスミス先輩。
いつもAの後ろにくっついていて忠実に従っているが、彼にはジリーロジャー寮に見合う統率力があった。

いつの日か覚えられなかった寮の名前やその特徴は、ここで過ごすうちに頭へ入ってきていた。
だからこそ、スミス先輩の所属はジリーロジャー寮にピッタリだと感じた。

そんな先輩が目の前でご褒美を取り上げられたように、立っている。
楽しそうなスカラビアの2人に茶々を入れるオクタヴィネル寮生の方を眺めている。

ｽﾐｽ「きっと、彼らは仲が良いんですね。」

スミス先輩も僕と同じことを思っていたようだ。
ただ、それはスミス先輩にとって嬉しくないのだと思う。
彼は今にも泣きそうな目で、まだ終わらない口喧嘩を見ている。
絶対に嬉し涙では無い。

ﾕｳ「……嫌なんですか？」

ｽﾐｽ「えっ？」

ﾕｳ「2人が仲良くなると、スミス先輩に不都合が生じるんですか？」

その言葉に先輩は驚いたようで、肝が抜かれたように瞬きを数回した。
そして、気持ちを言葉に変えようとしたが、その口からは空気しか出てこない。
無理に言う必要がないと伝えたが、スミス先輩は首を振って真正面に僕を捉えた。

今から話します。
しっかりと言葉に変えられるかわからないけど、この気持ちを伝えなきゃいけないんです。

そう言われた気がした。