8つの寮�� ページ4
談笑していると、先程まで特等席に座っていた超セレブの1人が瞬間移動をしてきた。
あまりの出来事に戸惑ってしまったが、隣に座るグリムもぴょんっと跳ねていたので、日常茶飯事というわけではなさそうだ。
ﾘﾘｱ｢リリアじゃ。リリア・ヴァンルージュ。｣
独特な喋り方とニコニコした愛嬌は先程まで出ていた｢子供｣という話題にいくらか似つかわしいところがあった。
しかし、ヴァンルージュ先輩とは真逆にあちらの生徒は、口を閉ざし痛々しい目線を送ってきていた。
…仲良くして欲しいとは？
魔法全般に長けた優秀な生徒が多い。
なるほど、とりあえず、その寮に入って卒業しておけば就職で採用される…と。
｢おっと、俺様のことを忘れるなよ、ケイト。｣
僕の後ろから少し低めの声が聞こえてきた。
後ろを振り返ると黒髪の男性がこちらを向いていた。
ｹｲﾄ｢わお、Aじゃん。寮でご飯食べないの？｣
｢1年生が来たからな。新しい友達と食べてもらうために一時的に自由にしているのさ。というか、そもそも昼食を寮の全員で食べるなんていう規則はないんだがな。｣
ｽﾐｽ｢皆が船長と食べたいんですよ。｣
ふん、と鼻息を荒くしながら船長と呼ばれた人は腕を組んだ。
頭に乗っかている羽付き帽子がゆらりゆらりと左右に動いている。
隣の白髪の男性は、いつも付き添っているのか彼のそばに立っていた。
ｴｰｽ｢あんたが、ジリーロジャー寮か。｣
エースはまじまじとその容姿を見ながら、興味を示していた。
ケイトが慌てて、エースの口を抑える。
いつも爽やかなケイト先輩が慌てたことに意外すぎて、エースもデュースも直ぐに動こうとはしなかった。
｢ふむ、新入生か。口の利き方には気をつけた方がいい。｣
そう言うと、彼はグリムと僕の間に入って机に手を付き身を乗り出した。
左手の鉤爪をエースの首元に当てると、口は弧を描いた。
そして、特段低い声で話しかける。
｢…首をかっ切られたくなければな。｣
それは、エースに向けられた殺気だが、こちらまで伝わってきた。
この人は本当に、人1人殺せそうだと、不覚にも本能で感じたからだ。
ｹｲﾄ｢じょ、冗談だよ〜！ほら、名前名乗って。｣
ｴｰｽ｢…エース・トラッポラ。｣
痛い目を見たエースは、何も文句を言わずに自分の名前を名乗った。
すごく不服そうに口をとがらせてはいたが。
続いて、デュースも名乗る。
僕も慌てて名乗ろうとしたが、お前はいいと言わんばかりに手を添えられた。
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作者名：あかまる | 作成日時：2022年5月21日 17時
