【ツイステ】船長の冒険記 (ページ28)

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騙された彼らページ28

拳に力を入れ、熱く語る獣人のサバナクロー生。
片割れを失った監督生。
それだけ見れば誰が引っかかったのか一目瞭然だった。

｢その様子だと…、手品の坊と真面目な坊の頭にはイソギンチャクが生えてしまったようだな？｣

ﾕｳ｢ジェームズ先輩！｣

ｼﾞｬｯｸ｢ジェームズ…？あんた、ジリーロジャー寮の寮長か？｣

格好をつけたように紳士に登場してくるAは、もう全ての流れを把握していたと言っても過言ではない。

ジャックとは初対面であり、(正確には1度会ったがAの方は認知していなかった)あまりの言い草にエースのように首を掻っ切ってやろうか、と言ってしまおうか悩んだ。
しかし、現状このような茶番に付き合っている暇もないのだ。

軽く自己紹介をすれば、ジャックは特に何もせず普通の挨拶をした。
強きものに従えという精神がレオナが作るサバナクロー寮によって育まれているのだろう。

｢ふむ、その様子だと猫ちゃんもいないようだ。｣

困ったようにユウがAに説明すれば、推測通りの話であり、何も知らない彼らになんて伝えようかと頭の中を整理した。

｢…彼らは騙されたのだろう。

そうだな…気になるのならば、オクタヴィネル寮にでも行くといい。｣

真相に触れる部分は誤魔化しつつも、適当なアドバイスを教えることによって、次に出る行動がわかる。
このままオクタヴィネル寮に行って、そこにいるエースたちに助けを求められる、シナリオはそうでき上がるはずだ。

早速向かおうとする彼らにAは、監督生たちの隣を歩いた。
ジリーロジャー寮の寮長である以上、何名が犠牲になったのか確認しておきたかったのだ。
一応、注意は全体にしておいたため、一桁だと信じたい。

鏡舎からオクタヴィネル寮のモストロラウンジへ向かえば、そこにはイソギンチャクの群れが群生していた。
店内はスタッフで埋め尽くされていたため、人が何人入ろうがわからないだろう。
少し上に立って話す饒舌なタコの鼻が高く見えてしまい、反逆心を煽った。

大人しく聞いておけば、それはそれでジャックが耐えきらないだろう。
少し言葉を交わしただけだが、彼の人格についてはおおよそ把握できた。

彼は、とても誠実で真面目。
それでいて、人の進言を聞き入れる素直さも持ち合わせている。

サバナクロー寮にいるとは信じられないほど、とても良い後輩だった。
レオナが彼を正しく扱えれば、彼は力を伸ばせるだろう。