[d!]深緑なる悪魔のお誘い (ページ7)

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ハイリターンページ7

本格的に気温が上がる前にパーティーの当日はやってきたため、グルッペン一行は暑苦しい正装を着用しても汗がまとわりつきべっとりとした気持ち悪い気分を体験しなくて済んだ。
A国は暑く乾いた期間である乾季と雨が降り続ける雨季が年に四回ほど目まぐるしく変わる。
例年通りの乾季入りであれば、ちょうど建国記念の祝賀会と同じ時期である。

今年は、少し遅れているおかげか帰国する直前まで耐えられそうだ。
あまりにも暑ければ護衛のゾムやシャオロンが醜態をさらしてしまう。
今回の幹部メンバーは、総統であるグルッペン、外交官のオスマン、護衛のシャオロン、陰に潜むゾム、裏情報の取引のための鬱、五人である。

やや戦力が偏るような選出メンバーだが、いたって正気であり、wrwrd国の平常通りである。
他国も来るとするならば、大物役人が三人ほどで、五人は異例の大所帯である。

執事に案内され、大広間への扉が開かれる。
武装しているシャオロンやその他護衛は原則そのまま入ることができない。
だからこそ、ゾムに潜入させている。
中で何かあればゾムが、外で何かあればシャオロンが。
我々三人は安心して自分の責務をこなせる。

豪華絢爛なシャンデリアと天井一面に絵画が描かれている。
天使と女神が木々を祝い、慈悲を与えているように見える。

既に百人ほどが交流を楽しんでいる。
会場へ入れば、グルッペンは各国の国主へ挨拶をするために、タイミングを伺いやすい中心へと移動した。

その間、鬱はしれっとその輪から抜けて、噂話をする貴婦人や側仕え(メイド)の元へ向かった。
鬱曰く、男性よりも女の方が口が軽く、秘密情報も入手しやすいのだとか。

ただ、どの国でも女性の差別は一定の問題となっており、どこまで秘密情報を知れるかは難しい領域ではある。
女性は政治に参加せず、男性に花を持たせる存在である、というイメージは、昨今あらゆる方面から批判を受けているが、なかなか排除できないのは、そのイメージが長い歴史と共に紡がれてきたからであろう。
それでも、鬱が女性を狙うのはローリスクローリターンのなかの、ハイリターンに賭けているからであった。

オスマンとグルッペンは、次のターゲットを目で追いかけていた。
その時、オスマンはあの男性外交官を見つけた。
姿を見るだけでも、あの外交で負けた忌々しい思い出が脳裏によみがえってくる。