情報の手札が多すぎる ページ5
かの国の政治は、wrwrd国同様軍の頂点に君臨する者が独裁する形で行われていた。
王室はこれに不満を持っていた。
そして、昨年。
新しい年が始まって一週間もしないうちに、開戦した。
民間人の間で王室に政治権限を与えるべきと考えた人々が行動に移したからだ。
国は国民によって成り立つ。
国民の力はいつだって強大だ。
wrwrd国は中立を示し、どちらが勝っても外交が結びやすいように準備した。
情報が入りにくいこの時代で、情報管理課の鬱はこの戦争の出来事を毎日調べていた。
そして、年末。
仕事のしわ寄せが津波のように押し寄せていたが、それに終わりが見えてきた頃だ。
鬱から気の抜けた通信が入った。
[あの件、王室が勝ったで〜]
日常的に訓練をし、それ相応な武力を持ち合わせていたはずの軍が、日常的に農業をしている人民に負けた。
政治機関が麻痺しているだろうから、無理難題な条約を結んでこい、とグルッペンは言ってオスマンを見送った。
その結果が、相手との平等条約だと誰が予測していたのだろうか。
相手国に相当頭のキレるお役人様がいるようだ。
os｢この世界では情報を制した奴が勝つ｣
戦争の在り方は、恐ろしく急激にその姿を変えている。
今までは強い武器や兵器でいかに相手の人員を殺せるか、が勝利の要であった。
だがしかし、情報を制するものは勝機あり、ということわざが出来たように、今や相手の情報を手に入れた側が勝てる。
os｢そいつは、グルッペンのように賢くは無い。
ただ、情報の手札が多すぎる｣
wrwrd国の地理情報からその物産の定価、もしかすれば国の機密情報も保持している可能性がある。
驕れるものは久しからず、とは聞いたことがあるだろうか？
身の丈に合わない行動をすれば、その身が滅びると言う昔の教訓である。
彼は、自分の立場を理解していた。
決して、あからさまな不平等の取引を提示しない。
その中で、かの国の問題を解決するように貿易の締結を行う。
全世界を見たとしても、他に類を見ない。
あの男性が国に忠誠を誓う限り、その国は滅びることは無いだろう。
例え、どこかの属国になろうとも、植民地になろうとも、必ず活路を見出しまた返り咲く。
最も厄介な敵である。
gr｢面白い｣
os｢仲間にする感じ？｣
グルッペンが面白いと感じる時は、何か珍しい玩具を見つけた時だ。
全ての興味が湧くものを手中に収めたいと感じる男、それがグルッペン･フューラーである。
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作者名：あかまる | 作成日時：2023年11月21日 18時
