秘密でお願いします ページ34
電気も窓もない埃っぽい部屋の中、椅子に動けないように締めくくられているところに食事以外で扉が開いた。
外から光と二人分の足音が入ってくる。
｢うーん、この感じですと貧血か栄養不足ですかね？｣
kn｢ショッピ！だいじょぶか！？目、覚ましてくれ！！｣
｢ちょっと！犬みたいに吠えないでください｣
歩み寄ってきた誰かが俺の耳にインカムを付けた。
少しサイズが違って気持ち悪いが、まぎれもなくwrwrd国でよく使っているものだと判断材料もないのにそう感じた。
先程と同じ声の持ち主の誰かが、安否を伝えてください、と言った。
rbr｢おい！！コネシマァ、ごらぁ！インカムの電源切るとは何事や！！｣
shp｢ちょ、う、うるさいです…｣
rbr｢ん、え、あ？ショッピくん！？
大丈夫か！？コネシマは近くにいるんやろな！！｣
そんなに大きくなくてもマイクは声を拾ってくれるのだろうし、周囲がうるさくて聞き取りずらいわけでもないのだから、誘拐された人をいたわってくれてもいいじゃないか。
スッと目隠しが外され、初めて見たこの部屋には自分が知っているコネシマともう一人知らない人物がいた。
三つ編みをしていて華奢でその儚さからも一見女子に見えるが、オスマンと同じ部類に入る男性であろう彼は、人差し指を口元に持っていき彼が存在することの秘密を促した。
なんとなく感じとった空気感に頷く。
shp｢ロボロさん、俺は大丈夫です。今、コネシマさんに代わりますね｣
コネシマが嫌そうな顔をする。
大丈夫、あんたならできる。あのうるさいロボロさんと張り合えるのはうるさいあんただけや。
インカムをスっと渡すと二人して言い合いを始めたので、会話と言うよりは痴話喧嘩に近かった。
部屋にやたら響く声に脳が震えていると、助けてくれたであろう男性が声をかけてきた。
｢こんにちは、Aと申します。
その、自国の都合で私がここにいたことは秘密でお願いします｣
A…、どこかで聞いたような名前だが、他国の上流階級社会の人だろうか？
それならば、他国の軍人を助けたとなれば相応の罪に当たるから隠しておきたいことも納得がいく。
｢これから脱出しますが、あと15分もしないで大陸までの道が海に飲まれ込まれます。
どんなことがあっても振り返らず突き進んでください｣
彼が言うにはこの神殿横の厩戸から盗んだ馬で全速力で駆けていけば、満潮になる前に海岸に着くらしい。
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作者名：あかまる | 作成日時：2023年11月21日 18時
