[d!]深緑なる悪魔のお誘い (ページ21)

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ビーフとお伝えしましたがページ21

開催国のC国の外交官がお決まりの言葉を述べ、ディナーが始まった。
明日の午前に本会議があるため、前日である今日の夜は親交を深めるためにも料理によってもてなしてくれた。
今回の参加国は、B国、C国、そしてC国と冷戦状態にあるD国、それからE国。
そしてオスマンのwrwrd国とあの外交官の国である。
A国は、残念ながら不参加で自国の統治で忙しいようだ。

C｢それでは皆さん、本日の最初のメニューは……｣

｢あの、少しよろしいですか？｣

スっと手を伸ばし綺麗な姿勢を保っていることは、すごく礼儀正しいのだが、人の言葉を遮るのはマナー違反である。
そんなことを知らない人柄では無いと思うが、一体どうしたのだろうか？

一斉に注目が集まるのを無視して、C国からのお許しを待っている。
言葉止められた手前、もう一度話し始めるのも、相手を無視しているように取られてしまうと困るので、C国は彼の発言を許した。

｢先程、ビーフとお伝えしましたが、お恥ずかしながら胃もたれしていまして、野菜を使った料理に変えて貰いたいのですが、お願いしても宜しいですか？｣

ディナーのメインについて、ホテルに着いてからビーフorチキン、と聞かれた。
肉料理の種類について宗教的な制約を考慮するためだ。
用意されていない料理の要求に、ピリッと緊張した空気が流れた。

C国は大事には発展させたくなかったので、シェフを呼んで確認した。
快い返事を貰ったようで、急遽彼の夕食は野菜料理になった。

前菜から順に運ばれてきて、次がメインになった時だった。
机に置かれた料理を見て、かの外交官は食事係をとめた。
耳打ちで何かを話しているが、よくわからない。

ﾒｲﾄﾞ｢え……、でも……。
……はい、わかりました｣

無理難題を吹っ掛けて困らしていそうな感じである。

するとメイドは彼の目の前に置かれた料理を下げて、D国の前まで行った。
会釈をしてその皿を取り替えると、次はD国の料理を彼の元まで運んだ。
それを見たC国はさすがに見過ごすわけにもいかず、彼を強く睨んだ。

C｢どういうことですかな？
先程、野菜料理を頼んだはず…｣

｢えぇ。ですが会食前に飲んだ薬が効いてきたようで、せっかくでしたら、と思いD国のものと交換させていただきました｣

D国の外交官は運ばれてきた料理に驚いていたが、すぐに平常を取り戻し打合せしていたかのような澄ました顔つきに戻った。
C国は悔しそうに顔をゆがめながらも、あくまで平和的対話として譲歩した。