もう少し多めにできませんか？ ページ2
男性が、ローテーブルに置いてあった資料を見る。
何ページかめくると表紙へと戻り、再度テーブルの上に置いた。
｢こちらのダイヤモンドの取引の量ですが、もう少し多めにできませんか？｣
os｢ダイヤモンドは希少な鉱石のため、発掘される量が多くありません。
よって、これ以上多くすることは同意しかねます｣
嘘だ。
嘘では無いが、正確には、そのダイヤモンドに対する取引値は不平等である。
よって、もう少し多くすることは可能だ。
ただ、誰が喜んでこちらの利益を逃すというのだ。
｢では、ダイヤモンドの原石の方を下ろさせてもらえませんか？
こちらで加工を施すことにしましょう｣
os｢いえ……、貴国は加工技術に関して慎重に取り組んだ方が良いかと｣
(＝加工技術が発展してないくせにダイヤモンドは扱えないだろう)
なんだ、自国のことをあまりわかっていないでは無いか。
思えば、この時のオスマンは新任だからと言って少し見下していたのかもしれない。
控えめなノックの後、ティーポットと菓子が置かれた。
そのティーポットの中身が均一になるよう少し回すと、カップに注ぎ始めた。
この匂い、wrwrd国の茶葉を使っている。
どこか重々しく密度の高いような香りが特徴なのだ。
｢あぁ、えっと……、そちらはwrwrd国から輸入した茶葉に合うように我が国の伝統の菓子を選ばせて頂きました｣
確かにこの国は我々国から取れる茶葉をよく輸入していた。
砂糖もミルクもいれなかったが、銀のスプーンはコップの中で弧を描いた。
何も無いことを確認すると、オスマンは口をつけた。
少しの甘みを舌で感じる。
これは……、グルッぺン達と行うアフタヌーンティーの時と味が余り変わらない。
とても美味しい。
すぐに褒める言葉は出てこなかったが、悪い意味では無い。
驚きすぎて、思考が停止したまでだ。
｢……。
話は戻りますが、確かに加工技術の無い我が国ではダイヤモンドの魅力を完全に引き出せないと思います。
そこで、貴国の技術者に教わることを提案します。貴国の使節団を送って頂けませんか？｣
os｢承知しました。では、貴国が納得する技術を身につけられた時に、またこの話は……｣
｢いえ｣
ピリッと空気に電気が走った。
先程は少し遠慮気味な言葉を使っていたのだろう。
オスマンは緊張感のある雰囲気をいち早く感じ、カップをテーブルに置いた。
目の前の外交官は妖しく笑っていた。
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作者名：あかまる | 作成日時：2023年11月21日 18時
