6.チョコレートコスモス ページ6
保健室から出てからというものの、私と勝己は一言も話さなかった。
別に気まずい雰囲気でもなく、何も話さないことはいつものことだ。
私が話さない限り、勝己も話さない。
｢綺麗な夕焼けだね｣
｢……そうだな｣
勝己はスマートフォンをいじりながら答えた。
別に帰り道とは言っても現在ヒーロー科は寮生活。
態々一緒の寮に二人で帰らなくとも良いのだが、小学生から今の今までずっと一緒に帰っている為なんとなくここまで来た。
｢明日は晴れるね｣
勝己はスマートフォンから目を離さなかった。
｢……はぁ｣
やはり私には振り向いてくれない、か…。
なにも、最初からわかっていた事じゃないか。
何を今更……
寮に着いた途端、勝己は突然足を止めた。
｢勝己、もう着いたよ。｣
勝己が止まったことにより少し前に出た私は、後ろを振り向いて勝己の顔を伺った。
｢お前さ｣
勝己はまた、らしくない真面目な顔をして私に顔を向けた。
そして
｢花吐き病ってやつだろ｣
勝己の口から出るとも思わなかった言葉も連れて。
｢っ…｣
勝己は続いてこう話す。
｢お前が倒れた時、微かに紫っぽい花を口から出していたのが見えた。
おかしいと思って調べたらこれだ。｣
勝己は持っていたスマートフォンの画面を私に見せた。
その画面は、嘔吐中枢花被性疾患。
通称花吐き病のことがビッシリ書いてある記事だった。
勝己、これをずっと読んでいたんだ。
｢片想いをこじらせている奴が発症する病気、だってなァ。
お前にそんな奴いたのかよ。｣
貴方です。
喉までその言葉が出そうになった。
｢……そうだよ。
私はその記事に書いてある通り、花吐き病に罹ってる。｣
そう言うと勝己は、やっぱりという顔をした。
｢…相手は？｣
｢全然、気付いてくれてない。｣
はは、と私は枯れた笑顔を向けた。
だって、勝己。
今だって気付いてくれないじゃない。
｢……日に日に痩せるわ、風邪が長引くわ、おかしいと思っていた。
なんで言わなかった。
ずっと一緒にいた、俺にも言えなかったのかよ。｣
ずっと一緒にいたからこそ、言えなかった。
私の想いをあるがままに伝えて、勝己との仲が悪くなってしまうのではないか、と。
｢……っごめん｣
すると勝己はスマートフォンを見せていた腕を力無くおろした。
｢…お前が想ってる奴の為にも、
もう、俺ら一緒に居ねえ方がいいんじゃね。｣
チョコレートコスモス 花言葉
恋の終わり
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いちきちゃん - とても素敵なストーリーでした｡花言葉も､細かくて好きです｡ (2023年2月12日 23時) (
レス) @page15 id: bbdd29e3b1 (このIDを非表示/違反報告)
リンリン - めっちゃ泣きました！！大泣きですぅ、！花言葉すごいです？ (2022年4月25日 21時) (レス) @page15 id: 4f44d2c38e (このIDを非表示/違反報告)
やま - なんか今見てるのめっちゃ遅いと思いますけど…ガチでめちゃくちゃ泣きました… (2021年1月24日 17時) (レス) id: 5d961f6072 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 完結お疲れ様です！花言葉になぞらえての物語、面白かったです(*´ω｀*) かっちゃんとラストの両想い感動しました…っ 花言葉を知れたのも面白かったです♪ (2019年3月6日 20時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - めっちゃ感動しましたー！！本編とは関係ないのですが｢トイレに花流したら詰まるんじゃない？｣っていう文ツボりました。 (2018年9月15日 20時) (レス) id: 96dfa0018b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：荼毘
| 作成日時：2018年8月10日 13時
