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傑は言葉の通り、次の日顔を出してきた。いや、次の日も、その次の日も。

私が半年の間動けていなかった為、立ち上がっても足の関節がうまく立たず、よろけてしまった時も傑が大きな身体で支えてくれた。

このままでは、もっと、もっと、傑を好きになってしまう。

好きになる度、あれも、これも、全てあの子にしてあげたんだろうなって。毎日嫌でも目に入る指輪が後ろ向きな考えを促してしまう。

それがどうしても悲観的になってしまって、どうせ嫌いになってしまえば楽なんだろうな、なんて思ったこともある。

「体調が良くなったら外へ出かけよう。良い店ができたんだ」

「…うん」

私は、少しだけ声を出すことを自分に許した。ずっと傑の言葉を無視するわけにもいかない。

どうかな、私の声。以前誰にも似ていない君自身の声とは言っていたけれど。裏で悦がってるのかもしれない。

…最低だ。何も信じていない、信じられない。

「家の事だけど…申し訳ないが縁を切ってもらったよ。不安なことがあったらなんでも私に言ってくれ」

「そんなことまで」

「君が安心して生活できるようにしたいんだ」

彼は特級術師となって忙しいのに、毎日欠かさずここへ顔を出す。それにも拘わらず、こうやって裏でも動いてくれているのだ。

それなのに、私は。

「…ごめん」

「どうして謝るんだい?逆にこっちが謝りたいくらいだ。…気づいてあげられなくてごめんね」

そう言って彼は私の頭を優しく撫でる。この優しさも胸が苦しかった。最低な私をこんなにも良くしてくれる傑の優しさに、苦しい。

「今日の任務は夜遅くまでかかりそうなんだ、今日はここまでだね。

頼んでいた義肢が今日の昼頃には出来上がるようだよ。硝子が持ってくるはずさ。型が合うといいね。」

じゃあ、と両手を膝へ押し上げるようにぬっと傑は立ち上がり、私へ背を見せた。彼の背中は身長の高さもあって広く、しがみつきたくなるようなものだった。

今、腕を失って初めて良かったと思う。遠くなっていく傑を無意識に引き止めようとしている自分がいたからだ。


なにも、私の声が彼女に似ていると言われた時、これを利用していつまでも気付かないフリをして、馬鹿なフリをして、傑の傍に居れば良かったのだ。

しかし、私の愛は利己的で傲慢だ。

私だけが傑の特別で、私だけに傑の優しさを注げられる。それを望んでいたし、それ以外要らない。

ただ、最初から、傑を独り占めにしたかったんだよ。

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rix(プロフ) - 尊さん» お待たせ致しました!只今公開致しました〜!!犬小屋から出てきてくださ〜〜い!!!!お家に帰りますよー!! (2021年3月27日 9時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- rixさん» なぬ、神様の作品なら絶対読みます!犬小屋で地団駄踏んで待ってます! (2021年3月24日 17時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - 尊さん» コメントありがとうございます!わー!そう言っていただけると嬉しいです(;;)休日に新作出すと思うので是非そちらもお読みいただけると嬉しいです笑 (2021年3月24日 17時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ感動しました!あなたは神作の神様だったですね、一生崇拝します (2021年3月24日 14時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!よかったです!!笑自信結構なかったのでそう言っていただけると嬉しいです!! (2021年3月22日 13時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix @元荼毘 | 作成日時:2021年2月28日 14時

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