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「何をそわそわしているんだい」

「だって」

「君の誕生日だろう?今日は二人でずっとお祝いしよう」

あれから月日が経ち、私の心身も傑の助けもあって大分落ち着いた。

そして今日は傑の元婚約者の命日であり、私の誕生日。

毎年地獄のような気分でそそくさと高専から逃れていた私だが今は傑が私の腰に手を回して何処にも逃げられなかった。

「…行かなくてもいいの?」

「どこへ?」

「お墓に決まってるじゃん」

行ってほしくないのにそんなことを言ってしまう。でも聞かなくてはずっとモヤモヤが募って喜びも薄くなる。

「君は行ってほしいのかい?」

「っそんなわけ…」

思わず歩みが止まり、自分より高い位置にある傑の顔を見上げる。

「そんな顔をしないでくれ。私はどこにも行かないよ。ずっと君と一緒にいる。」

私の反応を面白可笑しく笑った彼は、私の顰めた眉を元に戻すように撫でる。そしてほら、笑ってと頬を痛くない程度につまみ、口角を上げさせる。

「でも逆に良かったのかい?誕生日に高専の寮だなんて。洒落た店くらい私だって知っているよ」

「だって部屋の方が……その、二人でいられるから…」

少し照れたように私がそう言うと、傑は何も喋らずただ少し驚いた顔をしていた。体感的にとても長く感じた沈黙だったが、傑がゆっくり口を開く。

「すまない、こうして皆に私たちを見せつけながら高専を歩くのも良いかと思ったのだが、今はそれがとても惜しい」

「…え」

視界が反転し、体が宙に浮く。

「え!?まっ!?」

傑が私を横抱きにし、高専を脱兎のごとく走る。突然アトラクションに乗ったような事態に驚きの声が止まらない。

急に止まったと思うと、先程まで私の部屋に向かっていたのに気付けば傑の部屋に来ていた。部屋の中は傑だけの色に染まった綺麗な部屋で、至る所から傑の匂いがして思わず鳥肌が立ってしまう。

「君は私を煽る天才だね」

そんな鳥肌も傑が私を包むように抱きしめると直ぐに引いた。

「君が眠っている間に私が一方的に君の帰る家を奪ってしまったからね、ずっと前から責任を取ろうと思っていたんだ。」

そう言うと傑は当たり前のように小さな箱をポケットから出して、その箱をそそくさと開けて中身を取り出す。

傑の手に持っていたのはキラキラと遠慮なく光る指輪だった。

突然の事で頭が真っ白になったが、すぐに状況がわかって顔も目も心も全ての熱が上昇する。


「卒業したら、籍を入れよう。」

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rix(プロフ) - 尊さん» お待たせ致しました!只今公開致しました〜!!犬小屋から出てきてくださ〜〜い!!!!お家に帰りますよー!! (2021年3月27日 9時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- rixさん» なぬ、神様の作品なら絶対読みます!犬小屋で地団駄踏んで待ってます! (2021年3月24日 17時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - 尊さん» コメントありがとうございます!わー!そう言っていただけると嬉しいです(;;)休日に新作出すと思うので是非そちらもお読みいただけると嬉しいです笑 (2021年3月24日 17時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃくちゃ感動しました!あなたは神作の神様だったですね、一生崇拝します (2021年3月24日 14時) (レス) id: b48a344f5f (このIDを非表示/違反報告)
rix(プロフ) - ひなたさん» コメントありがとうございます!よかったです!!笑自信結構なかったのでそう言っていただけると嬉しいです!! (2021年3月22日 13時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix @元荼毘 | 作成日時:2021年2月28日 14時

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