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左足には学校指定の上履き。

右足にはギプス。

なんとも絶妙なファッションである。


あの後病院に行くと、骨にヒビが入っていると言われた。

もっと悪ければ粉砕骨折になりかねないところだったらしい。

“良かった”みたいな顔をすると、「これは亀裂骨折です。」と後押しされた。

ヒビだと言っても骨折には変わらない。

しばらくはこの2本の松葉杖が相棒だ。


こんな格好で教室に入ると、ギョッとした顔で皆の視線を集めた。

その視線は当然ギプスをつけた足。

そんな足をしているからか、生活は一変した。

体育に参加することが出来ず、階段を使わずに特別エレベーターを使っても良くなった。

周りからの待遇も変わった。

移動教室の時には教科書などの勉強道具は全て誰かが持ってくれたし、煉獄先生からのパシリもなくなった。

それは良いとして一番変わったことがある。


「おー、叶瀬

派手な足になったなぁ。

寄り道しねえで早く帰れよ〜」

天元様が私を美術室へ招いてこなくなったことだ。

そのせいか彼と会う頻度も少なくなった気がする。

私が怪我をしているから、気を遣っているのだろうか。

そんな気遣い、要らないのに。

それとも、なんだろう。


彼に、素敵な相手が見つかったのだろうか。

そんなことを思ってしまう自分が気持ち悪い。

まるで彼のことばかり考えていて、人の恋路を憎むようだ。

気持ちが悪い。

「どうした、A

元気がないようだが…」

「いや、何でもないよ

炭治郎は大丈夫?重くないの?

ごめんね、全部任せちゃって。」

私と炭治郎の荷物、二人分の荷物を持った炭治郎を気にかける。

「俺は大丈夫だ!

何せ長男だからな!」

「そっか」

私達は居残りすることなく、通常の下校時間に帰宅する。

こんなにすんなり帰ることが出来るのが、懐かしく感じる。

これが良いことか悪いことかはわからない。

ただ私が嫌だった。

天元様と話したい。

まるで禁断症状だ。

彼は私の麻薬。


…例えが悪すぎるな。

心の中で笑った。


どうせなら

その麻薬で私を思う存分狂わせて、

そしてその麻薬で

私の全てを満たしたい。

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rix(プロフ) - 月乃派さん» ないです! (2022年7月26日 6時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 更新停止ですが、更新待ってます! (2022年1月18日 22時) (レス) @page25 id: 7dc128c7fe (このIDを非表示/違反報告)
月乃派 - 宇髄さんは記憶があるんですか (2022年1月2日 18時) (レス) @page25 id: 2fabf89436 (このIDを非表示/違反報告)
rix @元荼毘(プロフ) - しらとぅさん» 影山飛雄です! (2020年11月27日 18時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 更新停止残念です…復活するの楽しみに待ってます (2020年3月22日 2時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix@荼毘 | 作成日時:2020年2月29日 11時

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