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「不死川先生」

翌日、私は不死川先生の元に訪れた。

「またお前か」

「昨日の礼ってどういうことか聞きたくて」

「自分で考えろォ」

「そんな無責任な」

先生は私に気にするようなことはなく、足を進める。

「なんだァ、今日は謝れ謝れって言わねえんだな。」

だが意外にも話を広げたのは先生の方だった。

「私なりに考えたんですよ。

あれ、玄弥に友達ができるように仕掛けた事なのかなって」

「んなわけねぇだろ」

「そうですか?」

へぇ、と適当にあしらう。

きっと先生はやはり不器用なのだ。

玄弥を陰ながら心配している。

思い返せば玄弥が全国大会で学校にいなかった時、悲しそうな顔をしていたような気がする。

「今日玄弥、体育で怪我したんですよ

それも結構重傷で。」

「っは?」

「嘘です。」

ほら。

「…テメエ、騙したな…」

「やっぱり玄弥のこと大事に思ってるじゃないですか。」

よかった。

不死川先生の不器用な愛で、玄弥にあんなことをしていたのだとわかった。

この私の意地と先生のプライドの戦いは、特に広がること無く終戦を迎えそうだ。

「それでも玄弥にはちゃんと謝ってくださいね。

あれは流石にやり過ぎです。」

この言葉に先生が返答することは無かった。

「で、

数学教えてくださいよ。先生」

「…いきなりどうしたァ」

「苦手は克服しないとな、と思いまして。」

「どうせ内申点上げたいだけだろ」

それから私と先生は他愛のない話をした。

先生が謝る謝らないにしても、この話は一件落着しそうだ。

モヤモヤしていた心が解消された気がする。


と思った矢先

「おい不死川〜」

“彼”が気持ち悪い程綺麗に笑って私達に手を振っていたのだ。

「どうしたァ、宇髄」

そう、彼とは天元様である。

ここ最近、不死川先生に付き纏っていたおかげで美術室に行くことはなくなったし、天元様と話すことも少なくなっていた。

私の生活に足りないものがある気がするという正体はこれであった。

「叶瀬を返してもらってもいいか?」

不死川先生の目の前に天元様が立ち、本当に天元様は背が高いなと思ってしまう。

不死川先生が背が低いと言っている訳では無い。

「…なんだ気持ち悪ィ…

勝手に貰っとけェ」

「っえ」

「おー!ありがとうな不死川!」

そうして光のように天元様は私の腕をとって、廊下を走る。

速さについていけず、腕がもげそうだ。

「廊下は走んなァ!!」

この不死川先生の声が最後であった。

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rix(プロフ) - 月乃派さん» ないです! (2022年7月26日 6時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 更新停止ですが、更新待ってます! (2022年1月18日 22時) (レス) @page25 id: 7dc128c7fe (このIDを非表示/違反報告)
月乃派 - 宇髄さんは記憶があるんですか (2022年1月2日 18時) (レス) @page25 id: 2fabf89436 (このIDを非表示/違反報告)
rix @元荼毘(プロフ) - しらとぅさん» 影山飛雄です! (2020年11月27日 18時) (レス) id: c4228ae6c4 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 更新停止残念です…復活するの楽しみに待ってます (2020年3月22日 2時) (レス) id: 05cb836c1e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rix@荼毘 | 作成日時:2020年2月29日 11時

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