私を忘れた先生へ【鬼滅の刃】

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一夫多妻制。

1人の男が複数の女を妻とする制度だ。

世の男が羨む制度だろう。



忍の家系は一夫多妻制があった。

理由は明確にされていないが、忍が衰退していくのが原因であると考えられる。

つまり妻は子を産むための道具でしかなかった。


不幸なことに私は女として生まれた。

くノ一として生まれた。

私は道具であった。



私は妻が既に私を含め四人いる男に迎え入れられた。

忍の次世代の頭領になる御方だ。

そんな方の妻として居られることを幸運に感じる。


名を、“宇髄天元”様と言う。


彼は隠密行動が主流の忍だと言うのにも関わらず派手を好み、私のような女を自身の命よりも大切にしている方だった。

他の忍とはかけ離れている存在であった。

私はそんな彼を心から敬った。


私は妻の中で一番年下であり、一番後に迎え入れられた。

それだと言うのにも関わらず、皆が優しくしてくれた。

天元様の愛は、4人何れかに隔たること無く平等に与えてくださった。

幸せな暮らしだった。



｢忍から抜け出す。｣



彼はある日、私達妻に向けてそう言った。

驚きはしなかった。

元々天元様は忍をよく思っていなかったのだ。

不思議なことではない。


｢決行は明日の夜だ。


俺についてきてくれるか？｣


彼は申し訳なさそうな目をして私達に言った。

私達は首を横に振ることは無かった。



｢私達は命ある限り、天元様にお供致します。｣


彼が傍にいるだけで私は幸せだった。

彼の傍にいる、それが私の生きがいとなっていた。

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