ヒーローになりたい少女。【相澤消太】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:28 hit、合計:30,014 hit

５．雄英ページ5

．

雄英に受かった。

働きながらの受験勉強は辛かった、苦しかった。

『お母さん、あのね、私、雄英高校受かったんだ。』

そういうとお母さんは嬉しそうに笑って泣いてくれた。

母「よかったね、嬉しいよ、ありがとう…」

お母さんは私を抱きしめた。

病院のベッドに座りながら身体を捻り。

抱きしめ返したお母さんの身体は、とても細かった。

嬉し涙を流して出てしまった鼻水をすすると、病院特有の消毒の匂いが鼻をツンとさせた。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

相澤 side

「………」

４月から受け持つクラスの名簿帳を眺めていると、そこには見慣れた名前と顔が書かれている。

“AA”

間違いない。

俺が憧れ、背中を追っていた恩師「パトソス」ことA先生の娘だ。

懐かしい。最後に会ってから５年…？

時の流れは早い。

まさか、自分の恩師の娘の担任を務めるなんて…

２年前、A先生は亡くなった。

それは仕事から帰り、家のテレビをつけたときのニュースで知った。

＂元プロヒーロー「パトソス」A大輝事故死＂

画面の下半分をその大きな文字で埋まっている。

言葉が出なかった。

雄英での３年間、俺を育ててくれた恩師。

ショックどころじゃなかった。

その次の日、仕事が休みだった俺はA先生のマンションへ向かった。

だけど、そこにはマンションはなく、緑あふれる公園となっていた。

葬式は身内だけでやるとニュースでやっていた。

１人で泣くしかなかった。

最後にA先生に会いたかった。

そして、Aに。

．