ヒーローになりたい少女。【相澤消太】 (ページ3)

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３．家族ページ3

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中学２年生の夏。

そろそろ進路を決めないといけない時期。

もちろん私は雄英志望。

“第一希望雄英高校”

と書かれた進路希望調査の紙は、私の目の前で細かくされた。

「お前なんかが雄英に行けるわけないんだよ。」

そう言ってどこかに行ってしまった女子３人。

中学３年間、ずっっとあいつらにいじめられてきた。

「仕返し」「復讐」と言われるものはしなかった。

しなければ余計にやられることもないし、大人しくしていればじきにあの子らは飽きてどこかに行く。

先生やクラスメイトは見て見ぬふり。

私の心はボロボロだった。

殴られ、蹴られ、叩かれ、物を捨てられ、落書きされて…

でも、決してお父さんやお母さんには相談しなかった。

お父さんとお母さんの笑ってる顔を見たい。

私を心配して辛い顔なんてさせたくない。

私が耐えれば、その当たり前が続く。

夏休みが終わる頃。

お父さんは死んだ。

飲酒運転の車に撥ねられて。

麻痺があったお父さんは、その車を避けることができなかったそうだ。

それは大きなニュースになった。

お母さんはそのショックのせいか、心臓の持病が悪化し入院生活を送っている。

家に帰っても誰もいない。

ただいまを言っても、おかえりが帰ってこない。

お父さんは死んで、お母さんは入院生活。

そんな現実を受け入れるしかなかった。

でも、ヒーローになる夢を諦められない。

私は必死に勉強をした。必死に努力した。

私の個性の１つは「記憶」。

でも記憶できるのは思い出だけで、勉強関連は記憶できないため、頑張るしかなかった。

だけど、お母さんの入院費はバカにならなかった。

お父さんとお母さんの貯金は結構あったが、使わない。

使いたくない。

お父さんとお母さんの、大事なお金。

もしかしたら、いつか大きな出来事で大金が必要になるかもしれない。

手術か＿＿＿＿＿死か。

中学生はバイトができない。

だから汚い仕事をするしかなかった。

知らない汚いオッサンのモノを舐めて。合わさって。

それでお母さんの笑顔が守られるなら、私はいくらでもやれる。

私が我慢すればお母さんの笑顔がまた見れると信じて。

　

夜、1人しかいない家のトイレで震えながら吐く。

助けて、誰か＿＿＿＿＿＿

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