【wrwrd】拾う神有り (ページ6)

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日常 1 ページ6

帰る途中で買い物やら喫茶店に寄るやらしたせいで、城に着いたのはもう夕食が終わった時刻だった。

『部屋に戻る前に…ちょっと待っててください。』

そう言い残し、私は中庭へ走った。

『これで、よしと！』

葉が触れない程度の間隔で挿し木をする。これでツツジが育つだろう。ゆくゆくはツツジを沢山咲かせる！

総統様の元へ戻り部屋に向かう。

「夕食、どうする？」

『今から何か作っても良いですが…。
あ、一昨日作ったチーズケーキがキッチンの冷蔵庫にあるはずです。』

「ゆ、夕食にケーキ食べていいのか！？」

『今日くらいはいいでしょう。』

「きたこれ！夢のようだゾ！」

『では取ってくるのでお皿、用意しておいて下さいね。』

取りに行って戻ると紅茶まで淹れている。準備万端のようだ。丁寧に切り分け食べることにした。

「やっぱ美味いな。」

『恐縮です。』

「提案なんだが、やっと恋人になれたのだ。
そんな堅苦しい喋り方とか総統様と呼ぶのはよしてくれないか？」

『無理です。』

「じゃあ呼び方だけ。ちゃんと名前で呼んでくれ。
私にも名前がある。」

『グルッペン様？』

「もうちょっと。」

『グルッペンさん。』

「まぁ、妥協して良しとしよう。」

『少し慣れないですね。グルッペンさん…ですか。』

ワンホールあったケーキは昼ご飯を食べていないせいか、すぐに無くなった。

『では、片付けに…。』

そう言い立ち上がった所を後ろから抱きしめ引き留められた。

「なぁ、A。1年も待たせてまだお預けするのか？もう限界は近いゾ。」

『何のことでしょう？』

「優しくするから。」

耳元で囁かれる1年前のいつかも聞いた言葉。すぐに察した。正直怖い。しかし、ここを逃せば多分また引き伸ばしてしまう。

『では私はお風呂入るので…その間にこのお皿を洗ってきてください。』

「分かった。」

そう言い、食器を持って出ていった。

『…。』

風呂に入った。1人になると色々な考えが溢れてくる。

ていうか総統…じゃなくてグルッペンさんと！？
何もわかんないし怖いんだけど！？絶対がっつくよあの人！ちょうどここに来た時の私に言ったら卒倒するだろうな。お風呂出たら何しよう。とりあえずし、下着とかで待ってればいいのかな！？もういいや、お風呂出ちゃえ！

出たはいいがやはりまだ帰ってきていない。
下着ではさすがに寒かったので毛布を羽織って待つことにした。