【wrwrd】拾う神有り (ページ29)

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戦争 4 ページ29

トントンside

一足先にゾムが戻ってきた。あのゾムが珍しく負傷している。

「すまん、あの人数は流石に捌ききれんかったわ。
でもそれなりに戦力は減ってると思うで。」

先程ゾムからインカムで知らせがあった。

めちゃめちゃ兵が押し寄せてくるから、グルッペンを先に行かせて時間を稼ぐ。ヤバそうになったら帰るわ。

と。

そう、ゾムは戦闘力は高いものの本来は暗殺が専門分野。暗殺と戦闘は似て非なるもの。

「ゾム、よぉやった。１回しんぺいさんのとこ行って手当してもらいや。」

「おん。」

褒められることにあまり慣れていないのか、少し照れくさそうにはにかんだ。

あまり弱っているようには見えなかったが、ゾムが歩いてきたところは点々と血痕がある。ゾムはもう戦力切れとみて今後の作戦を考えよう。

「バラバラになって一気に制圧する。ロボロを通してどこを制圧したか教えてくれ。この国の偉い人がおったら生け捕りしてな。」

土埃の中から誰かが走ってくる。あれは…グルさん。負傷してるけどAちゃんもおるな。

「僕も行ってきますわ。お偉いさんとっ捕まえてきますね。」

グルさんの肩をポンと叩き走り始める。いっちょ大仕事、やってきますかぁ。

インカムからロボロの声と共に次々と制圧の知らせが流れてくる。しかしヨルムを捕らえたという話は聞こえてこない。

「アイツ、もう逃げたんかな？……ん？」

目線の先には家具がずらされた痕がある。そういえばこの部屋の前にだけやたらと兵が多かったのも気になる。全員倒してもうたけどな。

家具をずらすとやはり、床に扉があった。
姑息な真似しとるな。小さな扉がある。蹴破るとひっ。と悲鳴をあげ剣を構えているヨルムがいた。

「く、来るな！私に近寄るな！」

へっぴり腰で剣を振り回している。
なんやあれ、滑稽やな。
持っている剣でヨルムの剣を弾き飛ばす。

「お前、死にたないやろ？大人しく捕まってくれや。」

「やめろ！」

未だに観念していないのか、逃げ出そうとしている。相手の首筋に刃をあてる。

「ワシらの大事なもんに手ぇ出して逃げられると思うなよ？おぉん？」

「わかった。わかったから！殺さないでくれ！！」

命だけは助かりたいのか、やっと大人しくなった。縛り上げて捕まえる。そしてロボロへ報告。

〈ヨルム捕らえました。クレイ帝国軍、制圧完了。〉

味方の兵を呼び出し、運ぶようへ指示。ふぅ、と一息つく。お仕事終わりましたわ。