【wrwrd】拾う神有り (ページ26)

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戦争 1 ページ26

グルッペンside

決行の夜。一足先にエミさんの運転する車でゾムと城へ向かう。少し後にその他の者がくる算段だ。

「ゾムさん、グルッペンさん、必ずAさんを助け出してくださいね。」

「言われなくても。」

「当たり前やろ。」

「検討を祈ります。」

私たちを降ろして走り去って行った。

「さて、どうする。私はダクトを這いずり回れないが。」

「この前の偵察で警備が手薄なところは分かってるから。ついてきてくださいよ。」

ゾムの後を着いていく。兵の目を掻い潜り段々と目的の場所に近づく。しかし全く人に会わないというのはやはり無理。応援を呼ばれる前に抹殺出来れば良いのだが、応援を呼ばれてしまった。

「ちっ、わらわらと湧いてくるなこいつら。」

後ろから追いかけてくる。

「グルッペン！先行きや！道は教えた通りや。俺はここで食い止めてるから！！」

「分かった！」

あの人数の兵を1人でこなしているゾム。アイツは暗殺だけじゃなく戦闘もできる精鋭だ。後ろは任せて前だけを見据えた。

なんとかAが居るであろう部屋の前まで辿り着く。部屋の前にいた兵はどうにもならなかったので撃った。返り血が飛び散り降りかかる。
鍵がかかっている。まだ生暖かい兵士の懐を探り鍵を挿し込む。

勢いよく開けるとそこには

Aがいた。

『グルッペンさん…っ！』

「A！！大丈夫か！」

Aが抱きしめてくる。私も強く抱き返した。今はこのままでいたいがそうにもいかない。

「ここでゆっくりしている猶予はない。続きはまた後にしよう。」

彼女は髪を一つに括ってはだしでいる。どうやら走る気満々なようだ。

『えぇ、とっととこんな所抜け出しましょう。』

彼女の手を取り走り始める。

道には私が倒した兵士が所々に倒れている。そんなの目にも留めず走り抜ける。Aの動きが止まる。倒れているけどまだ生きている兵がAの足を掴んだ。すぐさま銃を構えるが、撃つより先にAが兵を蹴飛ばした。

「Aは強いな。物理的に…。」

『国の総統の婚約者ですもの。強くなければ。』

ニッコリと笑いかけてくる。その笑顔に少し恐怖を覚えたが、今はそんなこと考えている余裕はないな。

あと少し、あと数百メートル走れば城の内部から脱出できる。

その時、Aの動きがまた止まる。
しかし今度は違った。彼女の顔が苦痛に歪む。

「A…？おい！しっかりしろ！」

目の前でAは崩れ落ちた。