【wrwrd】拾う神有り (ページ25)

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危機 9 ページ25

Aside

ここに連れてこられて数日後の夜。
窓の外に人影があると思ったらゾムさんだった。

たった数日しかたっていないのにその懐かしい顔に緊張の糸が切れて思わず泣きそうになった。

しかし、外には常時人が居て声を出すことは出来ない。筆記でゾムさんに伝えると、ゾムさんも言葉を返してくれた。

この人たちの絶対は何があってもって意味だと思う。私もみんなを信じている。

昨晩もゾムさんが来た。ついに今日の夜作戦が行われるらしい。

今日、私の全ての運命が決まる。逃げられなければ待ち受けるのは死。

私は今できることを考える。遺書を書くこと？遺書は要らないだろう。彼らが絶対助けると言ったのだ。
走るだろうから体をほぐしておこう。この狭い檻で凝り固まってしまった体を入念にマッサージする。
ヒールも脱いでおこう。裸足で走るのは少々危険だけど足を引っ張るよりはましかな。
持っていたヘアゴムで髪を1つに括りあげる。

あとは、待つのみ。

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もう夜も深くなった。そろそろ来るかな？月明かりが部屋の中を照らす。胸元には月夜に煌めくペンダントが2つ。貰った日の夕焼けではなく月の明かりで静かに輝いている。固く握りしめ決意を抱いた。

城の中が騒がしくなってきた。走る足音。誰かを呼ぶ声。一気に私の緊張を高める。

ちょうど扉の外で銃声が1発なったあと、扉をガチャガチャと誰かが開けようとしている。グルッペンさんかと思うが、まだ確証はない。騒ぎを聞きつけた兵が私を殺しに来ただけかもしれない。

足に力を入れいつでも避けられるようにする。鼓動が今にも聞こえてきそうなほど大きく心臓が脈打っている。

鍵がガチャリと外れドアが開く。逆光でよく見えないがそのシルエットは確かにあの人の物だった。