【wrwrd】拾う神有り (ページ22)

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危機 6 ページ22

偵察隊side ゾム視点

俺らは今、クレイ帝国の城へ向かっている。車内には2人。自分とエミさん。

「なぁエミさん？」

「なんですか？」

「あんな取り乱してるグルッペン見たことある？」

「私は無いですね。ゾムさんは見た事ありますか？」

「いや俺もないね。
グルッペンにとってAは予想以上に大切やったんやな。」

「そうですねぇ。Aさんも無事で居てくれたらいいんですけどね。」

「Aちゃんなら大丈夫やろ。あのグルッペンの世話してるんやで？そんなやわな女やないやろ。」

「確かに。

着きましたよ。車で来れるのはここまでです。
私はここにいるのでなるべく早く戻ってきてください。」

「おん。じゃ、行ってくるわ。」

車から降り夜の路地裏を駆け抜ける。この感じ、久しぶりやな。日本って所の忍者ってやつの気分になれんねん。忍者よく知らんけど。

あっという間に城までたどり着く。

「あそこ警備ゆるゆるやん。行ったろ。」

なんとか城内(ダクト)まで侵入できた。ショッピ君の情報によると、この城に牢屋とか地下とか言うもんは無いらしい。これを踏まえるとAは城の端にいる可能性が高いな。

偵察もかねて這いずりまわりますか。

城の大体の構造は分かった。ただAちゃんがいるとこだけよくわからん。ダクトとか必要ない所にいるんかな？一旦外に出て城の外側から調べてみよ。

持ち前の身体能力とロープなどを使ってスイスイと城壁を登っていく。すると上の方にぽつんと光のついている窓があった。

バレないようにそっと覗くとAちゃんがいた。

小さく窓をノックする。驚いてこっちをみるAちゃん。緊張の糸がほどけたのか、今にも泣きだしそうだ。

『見張りが外にいます。声は出せません。』

と筆談で訴えかけてくる。俺もなんか返さないとな。

窓を息で曇らせて格子の隙間を縫って文字を書く。

「絶対助けるから。待っといてや。」

俺は任務を遂行するために直ぐにその場から離れ、エミさんの待つ車へと向かった。