人 質 【4】

Ep.１７７ ページ36

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「───教室に戻れ」




ビクッと肩が跳ねたけど、それはさくらに対してのものだったようで。

美術室に入るタイミングを見失って
ドアの外にもたれるしかなくなった。




「行かないでください･･･、行かないでくださいッ！」




さくらの必死な声。




「私はッ、先生を信じてきました･･･！
･･･今でも信じてます。
でももう、限界です･･･。
先生がこれ以上悪者にされるのだけは納得できません･･･ッ！！」




一颯先生がドアを開ける音が聞こえる。




「お願いです、行かないでください！！
先生･･･ッ！！」




ドサッ、と音が聞こえて
先生がさくらを投げ飛ばしたんだとわかった。




「先生に最後まで見届けるように言われて･･･、
今日まで先生の授業を受けてきてッ
･･･揺らいでます、。
ずっと蓋をしてきたものが、真実なのか 偽りなのか･･･。
だから苦しいんです･･･、
先生が自分を犠牲にして、全てを背負い込もうとすればするほどッ、･･･苦しいんです･･･！」


「Aのこともッ、！
ずっと澪奈の傍にいて先生のこと信じ続けて･･･ッ、
なのに、こんな形で終わりだなんてッ
Aはほんとに先生のこと･･･ッ」




─────ガチャン･･･




無情にも、ドアは閉められた。



嗚咽が洩れるほど泣いた。

さくらがこんなに思っててくれたなんて。


もう私の気持ちなんかどうだっていい。




『───･･･さくら、』




でも、一颯先生が1人で全部背負い込んで

たった1人で犠牲になろうとしてるのは

苦しくて苦しくて、気が狂いそうになる。




「･･････A、私･･･ッ」

『ごめん、聞いちゃった･･･。
･･･ありがとう。ほんとにありがとう。
･･･でも私、このままで終わらせる気なんかないよ』





行こう、一颯先生のところに。





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