人質【4】 (ページ31)

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Ep.１７２ページ31

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資料室を出ると、さくらと香帆がいて。

『ごめん、結局爆睡してたよね。
寝すぎて頭痛いくらいだもん･･･』

「気張りっぱなしだから疲れてたんだよ、たぶん」

『かもしんない。
2人も休めた？』

「休めたよ」

ならよかった。

一旦教室に戻る、と伝えて美術室を出る。

「A･･･！
ぶっきーが映ってたあの動画、マイボイにアップされてるの･･･」

教室に入るや否や、涼音が携帯を掲げて私のところまで走ってきた。

柊のやつ、俺達を騙したのか

柊死ね死ね死ね死ね死ね死ね

警察よ、柊一颯を射殺せよ

死んで詫びろ!

『･･････ッ、』

こんなにもあっさり手のひら返し。

一颯先生への誹謗中傷は
武智先生に対するものよりも酷いもので。

“死ね” だとか “射殺せよ” 、“死んで詫びろ” だとか。

きっとユーザー達は面白半分に言ってるんだろう。

「･･･この動画が偽物だって投稿すれば、」

「そんなことしたら私達が協力してるってことがバレちゃう、！
ぶっきーがそれを望んでるかどうか･･･」

どうしていいか、分からない。

皆もそう思ってるんだろう。
石倉くんがその苛立ちを椅子にぶつけた。

「･･･でも、なんか怖くない･･･？
･･･皆この動画を本物だと思い込んで好き勝手にコメントして･･･！」

そう、きっと、先生が伝えたいことはこれなんだ。

─────ガラガラ･･･ッ

突然教室のドアが開いて、さくらと香帆に支えられた一颯先生が入ってきた。

もうフラフラで、たまらず駆け寄る。

『平気なの？無理してない？
しんどいなら座る？椅子貸すよ？』

「全部質問だな。
平気だ、無理もしてない。
座らないから椅子もいらない。
･･･さぁ、席につこうか」

とは言ったものの心配なものは心配で。

でも席につかないわけにもいかないし、渋々自分の席に座った。

「────俺の授業を始める。礼」

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