人 質 【4】

Ep.１５７ ページ16

side Suwa





「───あぁ、遅かったか」




目の前の事実に驚愕していると、ぶっきーが教室に入ってきた。

机を乱暴に蹴って、ため息をついて椅子に座った。




「･･･おい、これどういうことだよ･･･！」

「この鏡に映ってるの、ぶっきーだよね･･･？」




石倉と涼音が、ぶっきーに詰め寄る。




「景山が自 殺した日、先生が景山と一緒にビルに入ったってことか･･･？」

「武智の仕業じゃなかったのかよ･･･！」

「先生が景山を殺したんですか･･･！？」




おい、なぁ、なんとか言えよ。

皆の口調が荒くなっていく中、甲斐がぶっきーの胸ぐらを掴みあげた。




「あいつは、知ってんのかよ･･･？」




その声は震えていて。

その言葉に、Aがこの場にいないことに気付いた。




「ほんとだ、Aは･･･？」

「ぶっきー、Aちゃんどこにいんだよ！？」




皆が声を荒らげた。




「Aは、体調悪いって美術室で寝てる。
今の状況も知らない」




少しだけ、ほっとした。


マイボイで好き勝手に噂されて、気持ち悪い投稿ばかり目にしてしまって。
挙句の果てに盗撮まで。

それだけでも心配してたっていうのに、今のこんな状況、直接目の当たりしてたらAはきっと、正気じゃいられない。

あれだけ澪奈のことを大事に思ってたから。
ぶっきーのこと、本当に大好きな子だから。




「･･･お前達が決めろ。
この動画をどうするか、俺をどうしたいか。
あいつに話すのかどうかも、お前らで判断しろ」




だからこそ、ぶっきーのこの態度がなんだか苛々して。


ぶっきーのことは信じてる。
信じてるけれど、Aに対しては全てを曖昧なままで終わらせそうな気がして。


でも、今私が感情のままに動くべきじゃない。



ちゃんと、どうするのか考えないと。




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