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Ep.155 ページ14

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『───、やっぱちょっとしんどい・・・。
ごめん、美術室で休んでくるね』

「うん・・・、大丈夫?」

『大丈夫。ごめんね、ちょっと休んだら治ると思うから』




シンプルに体調が悪い、というか。

静かな空間で休みたかった。


あんまり皆に心配もかけたくなかったから、さくらにだけ伝えてそっと教室を出た。



窓際の、日当たりのいい席に腰掛ける。


オレンジ色の光が射し込んできてとても綺麗。

画材やら粘土やらが混ざった独特の匂い。


美術室は、やっぱり落ち着く。


少し見渡すと、立てかけられた澪奈の絵を見つけた。


切り裂かれたそれを見ていると私の心まで切り裂かれそうで。
暖色で描かれた、笑顔の澪奈の方を上にしておいた。



窓際の席に戻って、ぼぅっと物思いにふける。

・・・とはいっても、頭の中を占めるのはさっきまでのことで。


好き勝手に盛り上がって、あることないこと噂を流して、盗撮までされていて。

いつ、どこで、誰が。撮ったものなのかもわからない。


このままじゃ、誰も信用出来なくなりそうで。




『・・・そんなの嫌だよ、』




せっかく、皆とちゃんと、仲良くなれたのに。

・・・澪奈。辛かったよね。
毎日毎日、こんなのに耐えてたんだね。

怖かったよね。本当にごめんね。


泣きそうになって俯くと、バサッという音と共に視界が暗くなった。




『わ、ちょ・・・ッ』




わたわたとその中でもがいて、やっと抜け出すと それは一颯先生で。




「携帯貸して。
機種一緒だから充電しとく」

『急になに・・・』

「親御さんに連絡。お前に関してはやっぱり強制で」

『・・・強制って、』




きっと、先生なりに心配してくれてるんだろう。




「そこのコンセントに挿しとくから」

『ありがと』




これもね、と上着をもちあげてそれにくるまった。




「体調悪い?」

『ちょっとだけね。寝たら治るよきっと』




私の顔色が良くないことに気付かれてた。
・・・Mindvoiceのことは、言えなかった。




『・・・寝とくから、なんかあったら起こして?』

「わかった。無理すんなよ」

『先生もね』




ふは、と笑って美術室を出ていった先生は、教室に行ったのだろう。

先生の上着にくるまりその匂いに落ち着いて、眠くなるのにそう時間はかからなかった。




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シュガーボール(プロフ) - すごく面白かったです! (9月4日 15時) (レス) @page38 id: 31d6f46efb (このIDを非表示/違反報告)
スリッパ(プロフ) - 更新はされないでしょうか?もしされるのであれば楽しみにしてます!! (2023年1月9日 7時) (レス) @page38 id: f2ab2a7f7d (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (2022年8月20日 20時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - 最初から楽しく読ませていただきました!!更新待ってます! (2020年12月6日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 楽しみにしています (2020年9月4日 20時) (レス) id: 354b579e15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しぃも | 作成日時:2019年3月12日 15時

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