人 質 【4】

Ep.１５２ ページ11

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「───はい起立。俺の授業を始める。礼」




すっかり慣れた号令とともに、あくびをかみ殺して席に座る。




「･･･なぁぶっきー･･･！
俺達、ここに残る理由、もうなくねッ！？」

「澪奈のフェイク動画を依頼した武智が捕まったんだから、もうやることないよね･･･？」

「金だろ！身代金いくら貯まったんだよ？」




まさか。お金なわけがない。




「俺の目的は金でもなければ、犯人を捕まえることでもない。
･･･景山が亡くなった原因は、武智大和がベルムズに依頼した、フェイク動画だった。
･･･が、それが全てじゃない。むしろここからが、本番だと言っていい」




ここからが本番･･･？




「どういうこと、？」

「その答えは、たぶん明日になればわかるだろう。
･･･だからお前達にはもう少しだけ付き合ってもらう。
というわけで、今日の課題は、
────自習」

『･･･ぉん？』




まさかの展開に、変な声が洩れた。




「自習ってなんだよ！」

「各自、好きなことをやって過ごすように。
時間を有意義に使ってもらえるように、プレゼントを用意した」




そう言って先生は、鞄や携帯の入った袋を持ってきた。




「これから皆の鞄や携帯を返す」




うぉぉおマジか！と、ハイエナのように集まる子達。･･･そんなに携帯が大事か。




「ちょっと待て、ちょっと待てよ！
本当に良いのかよ俺達に渡して！」

「あぁ。これで家族や友人に連絡したい者はすればいいし、SNSに書き込みたい者は、自由に投稿して構わない」




一気に皆の顔が明るくなった。




「･･･ただし、俺に協力してることは伏せてくれ。
これは俺のためじゃない。お前達のためだ。
この事件が終われば、皆は普通の生活に戻る。
もし共犯だと思われたら、その生活に支障をきたすからな･･･。
それだけは絶対に避けたい。
･･･そのためにも、“ぐっ くるっ ぱっ” 、だ 」




突然不思議な動きをした先生。


皆の表情が怪訝なものに変わった。




「大事な決断をするときは、
“ぐっ” と踏みとどまって、
“くるっ” と頭を一周させれば、
“ぱっ” と、正しい答えが浮かぶ 」




えらくキャッチーになってるな。


ぐっ、くるっ、ぱっ、か。

覚えやすくて、頭に残りそう。




「･･･さぁ、第2部のクライマックスだ。
───Let's Think.」




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