Ep.146 ページ5
side Ogata
辛い、とても。
“俺にはこれしかねぇんだよ”
・・・そう言った瀬尾くんは、何も悪くないわけで。
これしかない、と思えるほど打ち込めるものなんてない私には、瀬尾くんの辛さなんて分かってあげられるはずもない。
だからこそ、辛い。
普通に考えれば瀬尾くん達のやろうとしてることは至極真っ当。
でも、ここで警察が来てしまえば、全てがパアになる。
澪奈のためにも、先生のためにも、瀬尾くん達のためにも。
真実を明かさなきゃいけない。
たとえそれが、瀬尾くん達にとって辛い道だとしても。
「───その推薦者が犯罪者でも同じこと言えんのかよ・・・?
武智は景山を追い詰めた犯人かもしれねぇんだぞ!!!
・・・そんな奴からもらった推薦でも、お前は喜んで行くのかよ・・・?
今回は、しょうがねぇだろ・・・」
“しょうがない”
それだけじゃ、やりきれない。
「お前ならまた次があるって・・・」
須永くんなりの励ましなんだろう。
「・・・そんな簡単に言わないで・・・?」
華ちゃん、須永くんのこと好きなのに。
ボロボロと涙を零しながら、必死に須永くんに伝える華ちゃんをみて、心臓がぎゅっと痛くなった。
「・・・3年間、毎日必死に練習して、一生懸命努力してそれでもだめで・・・ッ!
諦めかけてたときに声をかけてもらって、こんなチャンス二度とないって喜んで・・・、なのに!また次があるなんて簡単に言わないでよ・・・」
須永くんも、華ちゃんも、瀬尾くんも。
誰も悪くない。
一颯先生だって、瀬尾くんや華ちゃんの未来を潰してしまうかもしれないと、相当悩んだはず。
武智先生。
こんなに、こんなにたくさんの人が苦しんでるんだよ。
今まであなたによって苦しめられて泣かされてきた人が、一体どれだけいるの。
「・・・ッ瀬尾。
お前のゴールは、どこだ?
・・・スポーツ推薦で、大学に入ることか?
それとも大学を卒業しても、選手を続けることか・・・?」
先生の声は震えてて、先生だって辛いんだって分かった。
「・・・知らねぇよ。
目の前のことにいっぱいいっぱいで・・・、考えたこともねぇよ・・・!」
「そっか・・・。
お前達はそれでいい。
・・・だが、教師はそうはいかない」
先生はゆっくり立ち上がり、ぐるりと全員を見渡した。
「お前達に、頼みがある。
───俺という人間を、ジャッジしてくれないか」
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シュガーボール(プロフ) - すごく面白かったです! (9月4日 15時) (レス) @page38 id: 31d6f46efb (このIDを非表示/違反報告)
スリッパ(プロフ) - 更新はされないでしょうか?もしされるのであれば楽しみにしてます!! (2023年1月9日 7時) (レス) @page38 id: f2ab2a7f7d (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (2022年8月20日 20時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - 最初から楽しく読ませていただきました!!更新待ってます! (2020年12月6日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - 楽しみにしています (2020年9月4日 20時) (レス) id: 354b579e15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃも | 作成日時:2019年3月12日 15時