Ep.101 ページ7
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「───分かるよ、お前は彼女に嫉妬してたんだ。
夢に向かって生きる彼女が羨ましかった・・・!」
「知ったような口きいてんじゃねぇよ!!」
何度も殴られて血塗れの先生は、それでも甲斐に向かって話し続ける。
「素直になれよ・・・!
夢を諦めた自分とは対照的な彼女が妬ましかった、違うか?」
「・・・ッだったら何だよ!!
あいつは何のしがらみもなく好きなことやって、なのに俺は何もかも我慢して・・・!!
なんで俺だけこんな目に遭わなきゃなんねぇんだよ!!」
甲斐の、心からの叫び。
何度も殴りつける拳を止め、先生は甲斐を蹴り飛ばす。
「いつまでそうやって被害者ぶってるつもりだ・・・?
お前がダンスを辞めなきゃいけなくなったのは、家族のせいじゃない。
お前が何もしなかったからだ」
「・・・ふざけんなよ!!」
「お前が!!
抱いた悩みや苦しみを!!誰かにぶつけたか・・・!?
仲間に、クラスメイトに、教師に!!
“どうしてもダンスがやりたい、誰か助けてくれ” って、お前は縋ったか!?」
「んなことするわけねぇだろ!!」
思いきり先生に殴りかかった甲斐は側頭部に重い蹴りをくらい、倒れ込んだ。
「───誰かに縋って何になる・・・?
助けてくれるわけでもねぇ・・・見捨てられるのがオチじゃねぇかよ・・・!!」
「・・・ふざけんじゃねぇよ・・・」
石倉くんが、小さく呟いた。
「お前のそういうとこがムカつくんだよ・・・!
ダンスのときも、俺が先に始めたのにお前にあっという間に追い越されて・・・こいつならマジで世界掴めんじゃねぇかって思ってたらいきなり辞めるとか言い出して・・・!
それがこんな理由かよ?
・・・なァ。なァ、おい!!」
甲斐の胸ぐらを掴み、石倉くんは怒る。
「なんで黙ってたんだよ!!」
「だってしょうがねぇだろ、」
「決めつけんな!!
金を工面できなくても・・・ッ、弟達の面倒くらい俺達だってみれる!!
俺達だって!!何か力になれたはずだろ・・・ッ」
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わ - いつもみてます! (2019年3月12日 15時) (レス) id: c232dbe5e9 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - 作者様、好きです。すこですすこ。 (2019年2月17日 10時) (レス) id: 8656a872ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しぃも | 作成日時:2019年2月17日 3時