人質【3】 (ページ6)

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Ep.１００ページ6

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「筋はいいがまだまだ青いなァ！！」

容赦無い蹴りを甲斐に叩き込む先生。

「お前が起こした傷害事件。
あれは元々、お前が景山を使って金を稼ごうとしたことがきっかけなんだよな？」

『･･･どういうこと、』

甲斐が澪奈を･･･？

どうしてそんなこと。

「金に困ってたんだよな？
お前の母親は脊髄をやられて介護生活を余儀なくされた。で、お前もダンスを辞めて働かなきゃいけなくなった」

知らなかった、甲斐の事情。

だからダンス、上手かったんだね。

「･･･ごちゃごちゃうっせぇんだよ！！」

甲斐が殴りかかっても先生は軽くいなしてしまう。

「お前は金に目がくらんで景山を連れていった。
なのになんで、裏切って彼女を助けた？」

「奴らが景山を攫おうとしたからに決まってんだろ！！」

殴りかかった甲斐を投げ飛ばした先生は、小さく呻き声をあげた。

『先生･･･！？』

その一瞬の隙をついて、甲斐は先生を端に寄せた机に叩きつけた。

先生、どこか痛むんでしょ。
お願いだから無理しないでよ。

一気に倒れ込んだ先生の顔に、甲斐は何度も拳を叩き込む。

見ていられないけど止めることも出来なくて、唇を噛み締めた。

先生は甲斐の肩を掴んで机に押し付け、じっとその目を見つめて口を開く。

「･･･お前は、本当に何も知らなかったのか？
薄々勘づいてたんじゃないのか？景山が酷い目に遭うことを！
お前はそれでいいと思ったから引き受けたんじゃないのか！！」

勢いよく甲斐の胸ぐらを離し、からかうような口調になる。

「･･･けど、急に怖気付いて景山を庇った」

「･･･ッ、なわけねぇだろ！！」

「ならどうしてどうして景山を陥れるような動画を撮らせた？
それを頼んだのは、景山を攫おうとした奴らなんだろう？
───目の前で攫われるのは気が引けるが、他人がアップした動画なら、構わないと思ったから、」

甲斐は何度も先生に殴りかかる。

その度に避けられ、胸ぐらを掴まれ、まるで説得するように先生はゆっくり甲斐に伝える。

「景山が、傷付いたことに、変わりはない」

「黙れ！！！！
テメェに何がわかる･･･ッ！？」

いつも冷静だった甲斐がこんなに取り乱して、必死で先生を黙らせようと怒鳴り散らして暴れまわる。

澪奈を陥れたことは許せないけど、今の甲斐はどこか痛々しいと思えるほど不安定だった。

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