人質【3】 (ページ4)

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Ep.９９ページ4

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──── 19:46。

苛立った様子の一部の男子達が甲斐に詰め寄る。

「───もうすぐ8時だ。どうすんだよ」

「どうもしねぇよ、全部俺がやったって、」

「そうじゃねぇからここまで長引いてんだろ･･･！！
柊は全部知ってる。動画を加工した奴は別にいんだろ･･･！？」

自分の席に座りたいのに、甲斐の前の席だからこの状態。

仕方なく、空いてる席から椅子を借りてさくらの席の隣に座る。

だるそうに教室に入ってきた石倉くんと須永くんは、甲斐に詰め寄る男子達に苛立っていて。

「テメェら喧嘩売ってんのかよ、」

「本当のこと言わねぇなら力ずくでもどうにかしてやるよ！！」

怒鳴りあっては、今にも殴り合いの喧嘩が始まりそう。

「───楽しそうだねぇ！！」

勢いよく声を張り上げて教室に入ってきた先生。

沙良達は怯えきって教室の後ろに逃げる。

「俺はここで、高みの見物でもしてればいいのか？」

どこまでも神経を逆撫でしてくる言い方。

「───･･･だったら、テメェが相手になれ」

突然甲斐が立ち上がり、突拍子のないことを言い出した。

「誰が動画をイジったか知りてぇんだろ。
お前が勝ったら洗いざらい吐いてやるよ。
･･･ただし、俺が勝ったら全員を解放しろ」

無茶だ。
でもそれは、先生が正常なときの話であって。

今の先生は朝からずっと体調が良くない。
今だって顔色悪いし脂汗もかいてる。相当辛いはず。

「これまでの戦歴をみれば、お前に勝てる見込みはなさそうだけどな」

「調子悪ぃんだろ？さっきから脂汗かいてんぞ。･･･今のお前なら猿でも勝てる」

「･･････いいだろう」

私が止めたって絶対に止まらない。

眼鏡を外して上着を脱いだ先生は、完全にその気。

「･･･お前に勝って、フェイク動画の黒幕を暴いてやる」

最初に仕掛けたのは甲斐。

でも、いくら体調が悪いとはいえさすがというか。
先生は難なく避け、甲斐に蹴りを入れた。

「攻撃のリズムが良いねぇ、さすがダンス経験者！」

今だ、と判断した私はさくらにそっと合図する。
未来、華ちゃん、香帆も考えてることは同じだったようで、全員で目配せ。

正直さくら一人で行かせるのは不安だけど、この状況で急に作戦を変えるのは無謀すぎる。

4人で壁を作るように立ち、さくらが外に出やすい環境を作った。

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