人質【3】 (ページ19)

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Ep.１１３ページ19

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「────･･･私は、何も知らない」

「ほぉら見ろ！！
俺達が残ってもなァ、意味ねぇんだよ！！」

ここから脱出しようとする者、

それを阻止しようとする者。

まさに乱闘。

「おい！！警察が突入した･･･ッ！！」

逢沢くんの言葉に、瀬尾くんや兵頭くんはチャンスを見出す。

すると、乱闘から抜け出した甲斐が置きっぱなしだった一颯先生の時計を手に取った。

「･･･これ押せばいいんだろ･･･ッ！」

「それ押したらもう引き返せねぇんだぞ！！！」

「うるせぇ！！！･･･いくぞ、」

甲斐が時計のボタンを押そうとする。

その手は尋常じゃないくらい震えていて。

『･･･甲斐･･･ッ、』

たまらなくなって、その手から時計を奪った。

「何やってんだよ、お前も瀬尾達につくのかよ！？」

『違う！！！』

そうじゃない。

『瀬尾くんきいて･･･！！
責任なら私がとる！内通者も私ってことでいい！！
だから、一緒にここに残って欲しい･･･ッ』

私なら、スポーツ推薦の話もない。

心配して怒る親もいない。

『ごめん、勝手なこと言ってるのはわかってる！
わかってるけど、･･･ッ』

先生があんな状態になってまで私達に伝えようとしたことを蔑ろにしたくない。

澪奈に対して、私は何もしてあげられなかったから。

こんなことで償えるとは思ってない。

それに、きっと澪奈は望んでない。

これが正解だとも思わない。

でも、私にはこんな方法しか思いつかなかった。

( ─────ごめんね )

澪奈に、みんなに、先生に。

心の底から謝って、腕時計のボタンを押そうとした。

──── ガラガラ･･･ッ、！

「────お前がボタンを押す必要は、無い。
･･･汚れ役は俺だけで充分だ」

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